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地元の民話をiPad無料書籍で-大須「カラクリBOOKS」が新ストーリー配信

5月9日に発売した幡豆町の民話「証文岩」の表紙

5月9日に発売した幡豆町の民話「証文岩」の表紙

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 大須のデザイン事務所「クーグート」(名古屋市中区大須3)に勤めるデザイナー筒井潔さんが代表を務めるボランティア団体「カラクリBOOKS」が、iPad向け無料電子書籍「名君!吉良さん」「一色の大ぢょうちん」に続く「てんぐの羽うちわ」と「証文岩」の2話を、4月15日と5月9日に発売した。

西尾市の民話「てんぐの羽うちわ」の表紙

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 西尾市吉良町在住の筒井さんがシリーズ第1作として企画した「名君!吉良さん」は、昨年9月に配信を開始したiPad専用の電子書籍。開発の経緯について筒井さんは「自分が小学校の時には『吉良さんはテレビの忠臣蔵などの物語だと悪者だが、本当はいい殿様なんだよ』と教えられてきた。でも今中学生になる自分の息子は、『吉良の殿様』ということ以外あまり知識がなく寂しく思っていた」と振り返る。

 「カラクリBOOKS」は、インターネットやIT技術を活用して、時代の変化によって失われつつある地域固有の民話や伝承などを後世に残すことや、幼年世代に地元の民話に親しむことによって生まれ育った地域への誇りを持てるようにすること、タブレット型端末のコンテンツ使用や使用の際の対話を通じて、利用者が情報機器の取り扱い、情報社会との関わり方を学ぶことを目的に活動している。

 今回発表した「てんぐの羽うちわ」は、西尾市の伊文神社に住んでいたてんぐと、西尾市編纂(さん)室の資料の中にある「寛永分限帳」という1700年ごろの紳士録に記載のある河合八度兵衛「馬廻役」の剣の勝負の話。「証文岩」は、江戸時代、幡豆の谷村(やむら)の日照りを助けた若者の話となっている。

 「西尾の民話をiPadを通して、子どもたちに読みながら楽しんで体験してほしいと思った。自らの手で触ってキャラクターが動くことでより身近に郷土の民話を体験してくれたらうれしい」と筒井さん。「私事ですが」と前置きし、「先日、津平小学校で子ども会のソフトボールのコーチをした際、参加してくれた卒業生に『カラクリBOOKSすごく面白かったよ!!』と声を掛けられ、津平小学校でカラクリBOOKSの授業を受けた6年生だった。驚きと同時に胸が熱くなる思いだった。私たちの活動で、もっと子どもの記憶に郷土の物語が残っていけば」と筒井さん。

 今後は、幸田町のエピソード「茶壷の涙雨」などを配信予定。全て「App Store」で無料ダウンロードできる。

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