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センチュリーシネマで映画「箱入り息子の恋」公開へ-市井昌秀監督が来名

来名した市井昌秀監督(自ら執筆した小説版を手に)

来名した市井昌秀監督(自ら執筆した小説版を手に)

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 名古屋パルコ東館(名古屋市中区栄3)8階の映画館「センチュリーシネマ」(TEL 052-264-8580)ほかで6月8日から、映画「箱入り息子の恋」が公開される。公開に先立ち市井昌秀監督が来名し、映画の見どころを語った。

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 同作は、生まれて初めて女性を好きになった35歳の独身男が、本当に大切なものをつかむために周囲を巻き込みながら暴走するラブストーリー。市井監督は、2008年に長編第2作「無防備」が第30回ぴあフィルムフェスティバルグランプリ、第13回釜山国際映画祭コンペティション部門グランプリを受賞。実力派の若手監督の一人だ。映画「少年メリケンサック」、テレビドラマ「ゲゲゲの女房」などで注目され、俳優以外にも音楽家、文筆家と多彩な顔を持つ星野源さんが映画初主演。主人公が思いを寄せる盲目の女性を映画「天然コケッコー」「任侠ヘルパー」の夏帆さんが演じる。

 市役所に勤める天雫健太郎(星野)は35年間彼女がいない独身男。内気で愛想がなく、自宅と職場を行き来する毎日を送っている。見かねた父・寿男(平泉成)と母・フミ(森山良子)は、親同士が婚活する代理見合いに参加。そこで知り合った裕福そうな今井晃(大杉漣)・玲子(黒木瞳)夫妻の一人娘・奈穂子(夏帆)と正式にお見合いするチャンスをつかむ。

 コミュニケーションが苦手な男性と盲目の女性の恋物語は、監督自らが脚本を書いた。「自分を大切にするあまり殻に閉じこもり、他人や社会との接点がない男が、徐々にその殻を破っていく。そういう物語を撮りたかった。また、健太郎と奈穂子の姿から、触れることの大切さを伝えたかった。ゲームばかりやっていた健太郎が経験することの大事さを知り、変わっていく。殻を破る、触れるという2つのことをしっかりと描いた」

 主人公の姿には監督自身も投影されているという。「前作から数年、映画が撮れない時期があり、自分自身、心を閉ざして他人と接することが苦手になっていた。僕が殻を破ることができたのは、震災のボランティアに行き、いろいろな人と接した経験から。復興とは人の手で行われるものだと強く感じ、進んでいかなければという気持ちになった。その思いが本作に投影されている」

 星野さんについて「童貞だとか35年彼女なしという主人公も、星野さんが演じることでいい意味で柔らかくしてもらえる。僕自身と健太郎は近すぎるので、客観的に見られる星野さんがキャラクターにいいスパイスを与えてくれた。必死に相手と関わろうとする、全力で走る姿に、僕自身が心揺さぶられた」と絶賛する。

 夏帆さんについては「かなり特異な人物の健太郎に比べ、奈穂子は盲目というハンディキャップを持っているが男性を引っ張っていける人。透明感はありつつも、実は活発で意志が強い。盲目の演技やピアノのシーンなど、夏帆さんが特訓して徹底的に取り組んでくれたので安心して演出できた。二人が並んだ時には、本当に初々しいカップルに見えた」と話す。

 ラブストーリーであるとともに、親子、家族を描いた映画でもある同作。「代理見合いは最初から物語に入れるつもりだった。どちらの親もそれぞれの理由で子どもを心配している。子どもを思うからこそ過保護になり、発する言葉が他人を傷つけたりする。そういう家族のいろいろな面を見せたかった。なんだかんだ母親の方が強く、本当に大切な場面で父親が威厳を見せられるのは、僕の経験や理想からきた姿だと思う」

 最後に監督は「いつも言葉には言い表せない感情の爆発、空気を映像に収めたいと思って映画を撮っている。何か答えがある映画ではないので、見た人それぞれに感じとっていただけたら。この映画を見たら、間違いなくカエルが好きになり、牛丼を食べたくなるはず」と劇中のエピソードをうかがわせながら、多くの来場を呼び掛けた。

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