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人間社から「ツルレコード 昭和流行歌物語」 かつて名古屋にあったレコード会社紹介

人間社から発売された「ツルレコード 昭和流行歌物語」

人間社から発売された「ツルレコード 昭和流行歌物語」

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 大正・昭和時代に名古屋にあったレコード会社「アサヒ蓄音器商会」の盛衰をまとめた単行本「ツルレコード 昭和流行歌物語」が5月28日、人間社(名古屋市千種区今池1)から発売された。著者は音楽評論家の菊池清麿さん。

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 同書は1925(大正14)年に大曽根に設立された名古屋初のレコード会社、アサヒ蓄音器商会の誕生から終焉までを、詳細な資料と文献からあぶり出したノンフィクション。多種多様なレコードと同社にまつわる人物たちに光を当て、かつて名古屋にあった昭和流行歌の息吹を伝える。巻末には同社レコードの発売年、タイトルなどをまとめた「昭和流行歌ディスコグラフィー」を掲載している。

 「ツルレコード」の愛称で、大正末期から昭和初期にかけての激動の時代に名古屋の音楽文化の隆盛を担った同社。民謡、小唄などの邦楽から始まり、流行歌、クラシック、ジャズまで多彩なジャンルのレコードを発売。1927(昭和2)年には、東京・大阪の大手レーベルに先駆け、日本初の電気吹き込みレコードを成功させた。昭和10年代に外資系や新興会社との競争で苦戦し始めてからも、他社のプレス請負や洋楽専門レーベルの設立などで東京の一極集中に対抗。戦時中は軍歌などを発売して経営を続けたが、ジャズなどのイギリス、アメリカ楽曲約1.000種の演奏が禁止された1943(昭和18)年、歴史に幕を下ろした。

 編集を担当した樹林舎の野村明紘さんは「同社のことを調べていた作者の菊池さんが、名古屋の出版社から出したいと2013年に原稿を持ち込んでくれた。名古屋在住の僕も知らなかったレコード会社の歴史に驚き、出版を決めた。原稿の骨子は最初から固まっていたが、巻末の詳細なディスコグラフィーなど、さらに多くのことを調べ上げたため、発売まで2年近くかかってしまった。その分、充実した内容になった」と話す。

 「東京のメジャーレーベルの攻勢や、戦時下の逆境でも、いろいろなアイデアで名古屋の音楽の灯を守り続けた。大曽根の地で孤軍奮闘したが、今はツルレコードが存在していたこと自体、知らない方も多いと思う。会社の音楽史的な役割もあるが、とにかく地元の方々に知ってほしかった。ぜひ多くの方に手に取っていただけたら」と呼び掛ける。

 最後に野村さんは「出版の世界も東京が中心だが、地元の本を応援してくれる書店などと協力して頑張りたい。地元の面白い題材を、地元の出版社がいい本にして出版するのが理想」と意気込みを語った。

 仕様は四六判、276ページ。価格は2,160円。

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