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「あいちトリエンナーレ」出展作家ジョアン・モデさん来名 名古屋ほかリサーチ

名古屋芸術大学の学生たちと作品を制作するジョアン・モデさん

名古屋芸術大学の学生たちと作品を制作するジョアン・モデさん

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 国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2016」への参加が決定したアーティストのジョアン・モデさんが来名。展示会場となる名古屋市や豊橋市などをリサーチした。

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 名古屋市、豊橋市、岡崎市を会場に8月11日~10月23日の74日間にわたり開催される同芸術祭。3回目となる今回は「虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅」をテーマに現代美術、舞台芸術などの展示・上演が行われる。

 モデさんはブラジル出身。鑑賞者が参加して、さまざまな素材と色の紐を結びつけていく作品《NET project》(ネットプロジェクト)を、ブラジル・サンパウロ、ドイツ・シュツットガルト、フランス・レンヌなど世界各地で発表している。

 モデさんは「2002年頃に自分のスタジオで始まったとてもシンプルなプロジェクト。最初は結ぶ強さや結び方などを考えていたが、私たちの人生にあるいろいろな関係性を思わせ、単なる結び目ではないと感じるようになった。人同士の結びつきは時に強くなったり、あっという間にもろく壊れてしまったりする。それからは、一人でやっていたものを外に持ち出して、不特定多数の誰でも参加できる形にした。決まった誰かを招き入れてやるのではなく、あらゆる人種、あらゆる社会的な背景を持った人、そこに参加した人が作品を通してつながる。その多様性がこのプロジェクトの一番豊かな面」と話す。

 県内各地を回ったモデさんは「日本はブラジルから見ると地球の裏側だし、季節も真逆。子どものような気持ちで見て回り、ポジティブな刺激を受けた。アートが私にとってコミュニケーションの一つの形なので、言葉も分からない、文字も読めない状況の中でも、ネットプロジェクトで人や文化が繋がり合っていけると考えている。オープンなプロジェクトなので、アーティストは提案者でしかなく、実際に作品を作っていくのは参加する街の方々。愛知だからこういうものが出来たという作品になるはず」と話す。

 トリエンナーレ本展での作品のイメージも沸いているという。「移民が多いシュツットガルトでやった時は、プロジェクトを通して移民問題が浮かび上がってきた。ブラジルとウルグアイの国境でやった時は、境界線を意識させる2つの国をつなぐ作品になった。このプロジェクトはやる土地によって、固有の意味を持つ。文化や歴史を保存する姿勢や、ハイレベルなテクノロジーで世界とつながっている部分など、日本に魅了されているところは多いが、実際に訪れて四方を海に囲まれている地理的な特徴に心が引かれている。佐久島では漁師から地元の網の編み方を教わった。まだ構想中だが、海の青色のグラデーションを取り入れた作品を試みるかもしれない。可能なら名古屋、豊橋、岡崎の三都市で開催して、それぞれの場所で作ったネットを最終的に合わせられたらいいと思っている」と話す。

 モデさんは今回の滞在中、名古屋芸術大学のキャンパスで、学生の参加を募って作品制作ワークショップを開催。同大学キャンパスに15人の学生らが集まり、ビニールや毛糸などさまざまな素材のカラフルな紐を、モデさんとともに自由に結び合わせた。試作に参加した学生たちはトリエンナーレ本展でもプロジェクトに協力するという。モデさんは「トリエンナーレにつなげていくための小さな最初の基盤となるような作品。今回作ったものを基にたくさんの人に参加してもらって、大きく広げていきたい」と意気込んだ。

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