名古屋花柳界に10月1日、1人の舞妓(まいこ)がデビューした。デビューしたのは、新潟から単身名古屋にやって来た18歳のゆき乃さん。当日は、ゆき乃さんが所属する名妓連(名古屋市中区栄4)が「お披露目会」を兼ねて、成田山萬福院(栄5)から松坂屋名古屋店(栄3)まで人力車でお練りを行なった。
東新町の置屋から成る名妓連は一時200人以上の芸舞妓(げいまいこ)を抱えていたというが、現在では在籍する芸舞妓は20人ほど。今回のお披露目は、「名古屋にも芸妓(げいこ)がいるということを知らない人がとても多い」ことから、名古屋花柳界のPRを兼ねたものとなった。
11時から、成田山萬福院で芸能上達祈願を行ったゆき乃さん。祈とう後は、同席した先輩舞妓の陽菜さん、芸妓の小華姐さん、ひとみ姐さん、きく若姐さんらとともに人力車に乗り込み、お披露目会が行なわれる松坂屋までゆっくりと移動した。移動中はさまざまな店舗や住宅から名古屋の芸舞妓を一目見ようと、表に出て手を振る姿が多く見られた。通行途中にお練りを見た女性からは「かわいいー」「頑張って!」とエールが送られていた。
「芸妓にあこがれていろいろな土地の置屋を見学したところ、名古屋の雰囲気が一番良く感じ、名古屋に来ることに決めた」とゆき乃さん。舞妓の魅力について「いろいろなおけいこができることと、すてきなお衣装を着ることができること」と笑顔を見せる。
「一昔前は、特別な紹介が必要だったり、一見さんはダメだったりなどというしきたりがあったが、今はそういった垣根はない」と名妓連。「唯一の条件は『料亭で食事をすること』。より多くの人に名古屋の芸舞妓の存在を知ってもらい、『お座敷遊び』を楽しんでもらいたい」と話す。