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「世界コスプレサミット」のWCSが新会社「トリビュート」設立 人材発掘と育成で「コスプレの未来をつくる」

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 「世界コスプレサミット」を運営する「WCS」(名古屋市東区東桜1)が2月、「コスプレの未来をつくる」ことをテーマに人材の発掘と育成を目指す新会社「tribute(トリビュート)」を設立。4月28日に2つの新事業「+C(プラスシー)プロジェクト」の概要を発表した。世界コスプレサミットが20周年を迎える今年、コロナ禍で多くのイベントが運営に苦しむ中、さまざまな形でコスプレイヤーの絆をつなぎ、コスプレ文化のさらなる発展を後押しするために生まれた新会社。本格的な事業開始を控えた木村友紀社長に話を聞いた。

コロナ禍前の2019年に行われた世界コスプレサミットの様子。世界の国・地域からコスプレイヤーが来日してイベントを楽しんだ

コスプレは国境を越えて世界中に届く

 木村社長は、大阪大学を卒業後、テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」を運営するユー・エス・ジェイに入社。スポンサー営業職として、ナショナルクライアントとの企画の立案、実施を担当。フリーランスとして活動後、2017年からWCSのサポートメンバーに加わり、世界コスプレサミットのスポンサー対応、ステージ運営などを行った。

WCSが設立した新会社「トリビュート」の木村友紀社長

 木村社長は「神戸でWCSの小栗代表の講演を聞き、その場で世界コスプレサミットに関わりたいと思いを伝えた。実際に運営を経験して、コスプレには言葉を介さなくても国境を越えて世界中に届く力があり、コスプレイヤーが愛する漫画・アニメ・ゲームは世界に誇れる文化であり、日本の大きな武器になるジャンルだと確信した」と話す。

コスプレの可能性を広げ、新しいタレントを生み出す

 トリビュートの主な事業内容は、コスプレをテーマにしたインフルエンサー登録サービスの運営、新たなポップカルチャー(OTAKU)タレント人材の発掘と育成、海外展開を行うプロダクションの運営とPR・広告宣伝・各種企画・キャスティング、コスプレイヤー向けの新商品開発など。コスプレの可能性を広げ、エンターテイメントコンテンツとして社会での認知度を高め、「ニューヒーロー、ニューヒロイン」と呼べるタレントを生み出していくことを目指す。

 木村社長は「コスプレサミットを20年間運営することで生まれた国内外のコスプレイヤーとのネットワーク、コスプレというコンテンツが持つ大きなパワーを、もっと社会へのインパクトとして形にできないかと、以前から考えてきた。ここ数年、コロナ禍でリアルイベント開催の難しさにも直面し、これまでとは違ったイベント以外の多様なアプローチの模索が一気に進んだ」と設立までの経緯を振り返る。

2年ぶりにリアルイベント開催を復活した2021年の世界コスプレサミット。コロナ禍に配慮し、客席キャパシティを制限、ソーシャルディスタンスを確保しての開催となった。

 「コロナ禍でコスプレ文化が変容する中で、よりSNS上での絆が強まっている。WCSは、自宅でコスプレを楽しむ人たちをSNSでつなげる『プロジェクト・タクコス』を開始し、イベントで会うことができないコスプレイヤーたちの絆を応援した。トリビュートも、今のスタイルや新しいアイデア、アプローチを丁寧に捉えて、事業・企画を行っていきたい」と話す。

スタートは2つのプロジェクトから

 最初の事業となる「+Cプロジェクト」は、インフルエンサーマーケティング事業「+C influence(プラスシー・インフルエンス)」と、タレントプロダクション事業「+C production(プラスシー・プロダクション)」。

 プラスシー・インフルエンスは、コスプレの表現によりSNS上で多数の支持を集める「インフルエンサー・クリエイター」に特化したコミュニティーを運営。その影響力を、広告宣伝・エンターテイメント等の領域で発揮できるような新しい機会を創出し、企業等に提供する。現在、応募者から登録するインフルエンサーを選定。近く本格的なサービス開始となる。

 プラスシー・プロダクションは、高いクリエイティビティーでコスプレをアウトプットできるクリエイター・アーティストの活動を支援するタレントプロダクション事業。コスプレ文化の将来を担う若年層のコスプレイヤーの発掘・育成にも注力する。契約タレントとして専属、事業提携、合わせて7人の所属メンバーが発表された。

 木村社長は「インフルエンサーには募集開始からの数日間で多くの応募があり、かなりの発信力を持つサービスとしてスタートできる。コスプレは、キャラクターや作品世界に対する敬愛がベースにあるので、『共感』を大切にしながら発信していく。年内には登録者全体で総フォロワー数500万人以上が目標。タレントはコスプレイヤーとしての活動はもちろん、歌手、漫画家、造形作家など多彩な形でコスプレ文化を発展させられる人材ぞろい。どちらの事業も、まずは日本、いずれは海外の人材まで見ながら、グローバルにサポート・育成をしていきたい」と意気込む。

2021年の世界コスプレサミットの様子。マスクを着用してイベントを楽しむコスプレイヤー

コスプレ文化を支え、未来をつくる

 トリビュートは「称賛・尊敬のしるしとしての賛辞、贈り物」という意味。「作品やキャラクターへの愛、リスペクトを全力、全身で表現する『コスプレイヤーの存在そのもの』へ向けた言葉として社名に選んだ。『コスプレの未来をつくる』のはコスプレイヤーやコスプレファン、コスプレクリエイターの皆さま自身だと思っている」という木村社長。「コスプレが社会的にさらにリスペクトを受けられる文化になるために、企業との架け橋となり、コスプレマーケットの拡大とポップカルチャーの更なる発展に貢献したい。コスプレイヤーのオリジナル作品に対するピュアな愛情と熱量を、IPライセンサー、版元により良い形でお返しできる会社になりたい」と展望を語った。

2021年の世界コスプレサミットの様子。2022年はオアシス21、ヒサヤオオドオリパークほかで8月6日・7日開催

 同社のインフルエンサーとタレントは、8月6日・7日(前夜祭は5日)に栄・オアシス21ほかで開催するコスプレの祭典「世界コスプレサミット2022~20th Anniversary~」の関連企画から活動開始となる予定。

トリビュート

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