桜通りから北の久屋大通りを中心とした丸の内・泉エリアの緑化を進めるNPO法人「久屋・エコまちネット」と広告代理店の三晃社(名古屋市中区丸の内3)は4月18日、ビルの屋上でミツバチを飼うプロジェクト「マルハチ・プロジェクト」をスタートさせた。
名古屋都心部での養蜂は、鹿島建設中部支店が3月30日にスタートした「鹿島二ホンミツバチプロジェクト」に次ぐ2例目。
「今年の10月に開催される生物多様性条約会議(COP10)が開催されるのを機に、何か三晃社としても取り組める関連事業はないかと考えた際に、ふと春先に庭に来るミツバチのことを考えた」と話すのは三晃社ブランディング戦略局の松良宗夫さん。「ミツバチについていろいろと調べていくうちに、ミツバチ自体が減少していること、銀座でミツバチを飼うプロジェクトが進められていることなどを知った」という。それからは何度も銀座に足を運び、養蜂についていろいろと調べていくうちに、「銀座ミツバチ・プロジェクト」の協力や、養蜂家とのコネクションが得られるまでにこぎ着けた。
「広告会社が直接プロジェクトを運営するのはどうか…。NPO団体などに運営をお願いすることができれば」と考えていた松良さん。ちょうどそのころ「街に緑や花を増やす」ことを目的のひとつとして産声を上げようとしていたのが「久屋・エコまちネット」。それぞれ別で動き始めていた偶然と思いが合致し、同プロジェクトがスタートした。
プロジェクト名は「『丸』の内でミツ『バチ』を飼う」という意味を込めた「マルハチ・プロジェクト」に決定。2万匹の西洋ミツバチが暮らす2つの巣箱が、錦3丁目にある同社所有のビル屋上に設置された。巣箱設置の日には名古屋市の河村市長も駆け付け、同プロジェクトの始動にエールを送った。
「花は受粉されないと、いつまでも咲き続けてしまい結実せず、自然のサイクルが生まれないこともある」と話すのは同NPO理事の植松久芳さん。「緑は単にそこにあるだけではなく、質も大切。ミツバチが飛んでさまざまな花の受粉を行うことで、種ができたり実ができたり…。そこには鳥が飛んで来たり、と自然のサイクルができて質の良い緑が育つはず」と期待を込める。「ミツバチが飛んでミツを集めるのは半径2キロ。巣箱設置場所から考えると、名城公園から若宮神社までの距離。そのあたりで重点的に緑が増え屋上緑化が進めば」とも。
ミツバチの数が一定以上になり、はちみつが一定量とれるようになれば、それらを地元のスイーツ店に提供して「マルハチスイーツ」を作ることも視野に入れている。「都心の植物は無農薬だから、安心して食べられる。街に咲くさまざまな花から集めたはちみつはきっとコクのあるものになるのでは」と松良さん。
現在、同NPOでは会員を募集している。「ミツバチや植物の世話などの作業を通して、環境に対して目を向けてもらい、住みやすい『まちづくり』を進めることができれば」と植松さん。