久屋大通り沿いの栄北側に7月13日、商業施設「久屋鍛冶町ビルヂング」(名古屋市中区丸の内3)がオープンした。
1965(昭和40)年ごろに建てられたビルをリノベーションした同施設。街づくりのプロデューサーの石黒靖敏さんが、「本当に良いものを提供し、人の暮らしが豊かになれば。またこの地域の活性化につながれば」とプロデュースを手がけた。テーマは「丁寧な仕事、丁寧な暮らし」。
1階・2階は人気を集める碧南市の食料品店「イクタフード」が監修した生鮮・食料品、総菜の販売、カフェ、料理教室の「ナゴヤ・キッチュ・エ・ピオ」(TEL 052-265-5850)が出店。1階では碧南、安城などの地元を中心に長野、群馬などからも取り寄せた野菜・果物・米をはじめ、日本各地のこだわりの豆製品や加工品、乳製品、厳選したスイーツ、ワインを扱うほか、岐阜・愛知を中心に展開する「グルマン」のパンを販売する。オープンキッチンのカフェはカウンター席のほか中2階にテーブル席を設け、ランチも提供する。ランチ時は店内のキッチンで作られたものと、イクタフードから取り寄せた弁当を並べる。価格は300~400円台が中心で、「毎日ほぼ完売する」(石黒さん)という。「店内のカフェスペースで召し上がっていただくこともできる。店内でプリンやヨーグルト、スイーツなどを買って、お昼のデザートにすることも」。
2階は精肉、鮮魚の売り場。「特に肉のレベルは本当に高く、素晴らしいものばかり。名古屋市内では、ほかにないのでは」と自信をみせる石黒さん。精肉売り場のショーケースには、オブジェのようにディスプレーした肉が並ぶ。鮮魚は「青ガニ」など珍しい素材も。「特に和ものを充実させた」というグロサリーでは、しょうゆ、酢、タレなどの調味料、のり、かつお節、麩などの乾物、せんべいやおかきなどの菓子類を扱う。一角には特集コーナーも設ける。営業時間は10時~20時。
3階には、メンズをメーンにしたオーダー靴、靴教室、工房「和靴 勝謹製(なごみぐつ かつきんせい)」(TEL 052-253-9573)が出店。手縫いにこだわりを持つ店主の太田さんが石黒さんの声掛けで、同店出店のために浜松から名古屋に移り住んだ。「石黒さんのために来ました(笑)。浜松では民家を改造した工房だったが、名古屋ではショールーム展示もででき、接客・販売ができることがうれしい」。オーダーメードの基本料金は23万1,000円で、ベルト、ステッチなどのオプション(別料金)で好みの靴を作ることができる。男女向けの靴教室は、初心者コース(全16回の回数制)と上級者コース(1回3時間)を用意。お盆のころには靴づくりの合宿も予定する。営業時間は11時~20時。月曜・火曜定休。
4階はギャラリーとレンタル・イベントスタジオ。現在は、ボローニャ国際絵本原画展受賞者の小川絵美子さんと夫で彫刻家の田原幸二さん、千種区の「ブックギャラリー トムの庭」、ガラス作家とのコラボ企画展を開催。彫刻オブジェや絵画、絵本の古書などを並べ、展示販売を行う。「今後はワークショップなども行って行きたい。下の階で買い物をして、子どもがワークショップに参加する――そんなシーンを描いている」と石黒さん。レンタル料は1週間5万円。
「食も靴も追究したもの。普通では出会えないいいものを扱う。ただ買い物にくるだけでは面白くない。お茶したり、買ったスイーツを食べて帰ったり、ギャラリーに寄ったり…なるべく長くいてもらって楽しんでほしい」とも。