10月で開館20周年を迎える愛知県美術館(名古屋市東区東桜1、TEL 052-971-5511)で4月13日、作家と美術館、鑑賞者とつなぐプロジェクト「APMoAプロジェクト・アーチ」第1弾として、吉本直子さんの展示「Reflection Space-鼓動の庭」が始まった。
同プロジェクトは、同館学芸員と作家が共同で作る展覧会。作家の表現活動をサポートし、作家、美術館、鑑賞者の架け橋となるとの思いを込め「アーチ」と名付けられた。2012年度は5人の作家の展覧会を開いていく。
学芸員の森美樹さんは「各学芸員が同館で紹介するにふさわしい作家をそれぞれ推薦した。セレクトに傾向があるわけではないが、若手を中心に今後活躍するであろう優れた作家を選んだ」と話す。
第1回の展示に選ばれた吉本さんは、兵庫県出身で現在は京都を拠点に活動する作家。何百枚もの着古したシャツを圧縮し、のりで固めた作品を制作する。同展では固めた白いシャツで埋め尽くしたスクリーンを展示室の壁一面に展開。10階ロビーには白いシャツで作られたひつぎを思わせる作品や、対になる新作などを展示する。
「白いシャツに残る染みや汚れが、その衣服をまとった人の痕跡などいろいろな事を語りかけてくる。瞑想(めいそう)を誘うような空間で、私たちは人が生きた証しを見いだし、過去の遠い時間や命への連なりを感じることができるはず」と森さん。作品に使われたシャツの正確な枚数は、吉本さん本人にも不明。全て実際に着用されたシャツを集めて制作したという。今月28日には吉本さんによるレクチャーも予定する。
開館時間は10時~18時(金曜は20時まで、入館は閉館時刻の30分前まで)。観覧料は、一般=500円、高大生=300円、中学生以下無料。6月24日まで。