「NHK名古屋放送局」制作のテレビ番組「中部ネイチャーシリーズ」が10月2日から、5週連続で放送される。放送に先立ち、第1回に出演する俳優の石丸謙二郎さんの取材会が行われた。

第1回は剱岳の魅力を紹介

　中部地方が誇る豊かな自然を、息をのむ絶景映像と多彩な視点で伝える同シリーズ。3年目を迎えた今年は、北アルプス、三重県の清流、世界的に注目度が高まる日本海側の自然などをテーマに放送する。

　第1回放送「岩と雪の殿堂　剱岳（つるぎだけ）をゆく」は、登山者にとって最難関と呼ばれる北アルプスの名峰・剱岳に石丸さんが挑戦。明治時代に日本地図の完成を目指した測量隊員が通った超上級者用の「長次郎谷ルート」を2泊3日で登頂する。険しい岩稜や深い峡谷などの厳しい山の表情はもちろん、真っ白な大雪渓をバックに咲き誇る夏の高山植物など、さまざまな映像とともに剱岳の魅力を紹介する。

　登山が趣味で過去にも一度、剱岳登頂経験を持つ石丸さん。「学生時代から山に登ってきたが、当時の剱岳は今よりも安全面が整備されていなくて危険な山だった。2012年にようやくノーマルルートで登ることができた。長次郎谷ルートはいつか登ってみたいという気持ちがあったので、今回のお話を受けた。このチャレンジのために夏の間、10階建ての劇場の階段を35キログラムの荷物を背負って1日10往復して準備した」と話す。

　剱岳の絶景について「岩と雪と空とのコントラストや高地に咲く花など、長次郎谷ルートは景色という言葉だけでは表現できない美しさだった。いろいろな表情をした岩が次から次へと現れて、景色がどんどんと変化していく。途中、空気が薄くなるにつれて息が苦しくなっていったが、それでも絶景が忘れさせてくれた。そんな珍しい状態がずっと続く登山だった」と振り返る。

　最後に石丸さんは「天候に恵まれ、スタッフの力もあり、番組は『作品』と呼んでいいくらいに仕上がった。この特殊な山を登る姿を視聴者の方に見ていただき、勇気を持っていただけたら」と話す。

　第1回放送は20時～20時43分。放送エリアは中部7県（愛知、岐阜、三重、静岡、福井、石川、富山）。同シリーズは今後、「奇跡の清流　銚子川」（10月9日）、「日本最後の秘境・黒部源流」（10月24日）、「東尋坊・玄達瀬」（10月31日）、「能登の里山里海」（10月30日）を放送予定。