金山の名古屋都市センター(名古屋市中区金山町1)で1月23日、公開講演会「若者から発信する地元愛」が開催された。主催は日本都市計画学会中部支部。
前半の基調講演では、黄金の全身タイツとたい焼きをデザインしたかぶり物で名古屋を盛り上げる活動を行うパフォーマンス集団「しゃちほこボーイズ」の池田元希さんが登壇。名古屋の特徴をレジャー施設、商店街、食文化、文化遺産などに分けて解説し、若者のニーズにマッチした魅力が必要と分析。「武将観光やゆるキャラなど街の歴史や文化と融合したご当地エンターテインメントが大切。大きなレジャー施設などと違い、地域発のエンターテインメントは市民から作って発信していける」と地域文化と新しいタイプの芸能の融合を呼び掛けた。
後半は「ナゴ校」広報室の村瀬慶さん、「チームしゃちほこ」咲良菜緒さんらをパネリストに迎えたパネルディスカッション「若者から発信する地元愛」を開催。ナゴ校は「学生と社会をつなぐプラットフォーム」をコンセプトに名古屋市が開校した仮想キャンパスで、学生の力を社会と協働・連携させて地域を活性化すること目指している。チームしゃちほこは女性6人組アイドルグループ。名古屋を拠点に活動しながら、全国各地のイベントにも精力的に出演している。
村瀬さんは学生と市や企業が協力したイベントの開催や伝統的な祭りへの企画参加などの活動内容を紹介。「名古屋市の街づくりを勉強しながら企画することで、学生が市政に興味を持つきっかけにもなった。イベントを終えた時の達成感は大きく、多くの学生にとって『名古屋が好きだ』と再確認する場になっている」と話す。
名古屋市総務局の安田裕樹大学政策室長は「複数の大学の学生たちがチームになって地域活性化を目指す試み。行政と学生がここまで一緒に活動する事例は、他の地域ではあまりない。今後も学生の活力を生かして魅力あふれる街にしていきたい」と話した。
「チームしゃちほこ」の名前は東京のスタッフから見た名古屋のイメージで決まったという。咲良さんは「アイドルのきらきらしたイメージとは違うので最初は戸惑ったが、どこに行っても名古屋から来たとすぐに分かってもらえるので、今は気に入っている。歌詞に出てくる場所をファンが訪ねてくれるのが、とてもうれしい」と話した。「地元をベースにすることで、家族や学生生活と芸能活動を両立できた。たくさんの街を見て、名古屋は住みやすく、学生でも楽しめる街だと分かった」とも。
同グループ担当の長谷川ミネヒコマネジャーは「名古屋から全国に発信してライブに来てもらうことを第一に考え、地名や方言など分かりやすいコンセプトを積極的に取り入れた。会社として新しい試みばかりだったが、名古屋の皆さんにも応援していただき、たくさんの人に来ていただけるようになった。僕らのように外からの目線でアイデアが発信できることもある。メンバーはもちろん東京在住のスタッフも名古屋愛を感じているので、街の発展に少しでも協力したい」と話した。
最後にしゃちほこボーイズの他県出身や海外出身のメンバーらも登壇し、名古屋の魅力やPR方法などを考察。質疑応答では「名古屋は住む、遊ぶ、文化など、どの側面に力を入れるべきか」など、来場者からさまざまな質問が出され、パネリストたちが意見を述べた。
日本都市計画学会中部支部長の磯部友彦中部大学教授は「昔から地域活性化のキーパーソンは『よそ者、若者、ばか者』といわれている。今日はさまざまな立場で名古屋を盛り上げている方々に集まってもらい、楽しい会になった。いろいろな考え方があっていいので、それを皆で議論することで、一つしかないこの街をどう魅力的にしていくのか決めていってほしい」と地域の発展を願った。