日本舞踊の西川流が7月1日、栄の中日劇場(名古屋市中区栄4)で上演する「名古屋をどり」の記者発表を行った。公演は9月7日~11日。
同公演は西川流が終戦直後の1945(昭和20)年から開催している舞台公演。名古屋の伝統芸能における秋の風物詩として親しまれ、今年で69回目を迎える。会見には四代家元・西川千雅さん、先代家元で総師の西川右近さんらが出席し、今年の見どころを紹介した。
昨年と同じく3部制で、観劇初心者から見巧者まで楽しめる内容でラインアップ。第1部は西川流のベテランから若手までが出演する日本舞踊が好きな上級者向けの演目。定番の喜劇の常磐津「釣女」も上演する。第2部は1部と3部の中間に当たるバランスの取れた内容。歌舞伎にもある人気作の常磐津「双面水照月」を、千雅さんが法界坊、右近さんが女船頭で上演。名古屋と岐阜の芸妓(げいぎ)が競演する「芸妓乃巡新里唄(げいぎのめぐるあらたなさとうた)」も披露する。第3部は会社や学校帰りの人が気軽に寄れる演目。壮観な群舞、芸妓の華やかな舞台、歌舞伎十八番の舞踊版の義太夫「鳴神」などを上演する。
千雅さんは「素踊りの魅力など伝統が色濃く出ている1部、見やすくて派手な3部に、ちょうど真ん中くらいの2部という構成。今年は約20年ぶりに常磐津が復活する。常磐津は名古屋と縁が深く、基になった豊後節で最初にヒットしたのは『名古屋心中』。その後に江戸で人気となり歌舞伎の定番音楽になった。『双面水照月』はストーリーが分かりやすい魅力的な作品」と話す。
名古屋の名妓連組合と岐阜芸妓組合は、初めての競演。指導する右近さんは「昨年はそれぞれに出演したが、今回は同じ舞台で一緒に踊る。『ソーラン節』『秋田おばこ』など全国7つの民謡を芸者の歌と世界観に置き換えた作品を構想している」と語った。
江戸時代風セットを設置して出演者・スタッフが着物で出迎えるロビー演出や、歌舞伎ソムリエによるイヤホンガイドなどは今年も行う。千雅さんは「名古屋をどり観光化3年計画の2年目。昨年から始めたロビー演出やイヤホンガイドは観客からも好評で、入場者が約1割増加した。昨年の経験も生かしてバージョンアップしたい。伝統的な踊りは変えずに、周りの環境を変えて観光としても楽しめる形にしていく。今年も多くの方々に来場していただき、自分の国にある豊かな文化を楽しんでいただきたい」と呼び掛けた。
開演時間は第1部=11時、第2部=14時30分、第3部=18時。料金はS席=6,480円、A席=3,780円。問い合わせは西川流家元事務所(TEL052-831-7106)