約3年半前に八事にオープンし、独自の視点でセレクトした現代美術を展示していたギャラリー「feel art zero(フィール アート ゼロ)」と、生活雑貨をセレクト販売していた「生活装飾 Life deco(ライフデコ)」が8カ月の休業期間を経て2月2日、車道(くるまみち)に移転オープンした。
桜通り沿いにある同店は、古いビルの1階と2階を改装している。1階のギャラリーは以前の店名をそのまま使用しているが、セレクトショップは店名を「22;twenty-two(トゥエンティトゥー)」と改め、企画ユニット「to 22(トゥー トゥエンティトゥー)」がプロデュースするノンジャンルのセレクトショップとして再スタートを切った。
約2年前に結成された「to 22」は、もともとライフデコを運営してきた正木なおさんと、名古屋市内を中心に古着店を展開しているイワタトシコさんの2人で構成されている。イワタさんは2人のことを「1+1=10になるような関係。それぞれが個々で活動しているだけでは限界があるが、2人で活動をすることで、1人では超えられなかったところまで行ける」と表現する。
1階のギャラリーでは現在、陶芸家の内田鋼一さんの作品展「生まれくるかたち」が開催されている。ギャラリーについて、正木さんは「現代美術の視点で選んだ作家の方たちの作品をノンジャンルで展開していく。伝統を大切にしつつも、それを飛び越えた形で紹介していきたい」と話す。また「多くのギャラリーは敷居が高く感じられるものが多いが、いろいろな人が気軽に出入りできるような空間にしていきたい。構えずにただ空間を楽しんで、作家さんを身近に感じてもらえれば」とも。
2階のセレクトショップでは、「Trip to somewere(トリップ トゥー サムウェア)」をテーマに、さまざまな国や思想の中で厳選された商品が並ぶ。取扱商品は、食器、アートブック、ブローチ、CD、DVDなど。「旅するする気持ちで楽しんでもらいたい」という思いを込め、正木さんとイワタさんがセレクトした商品がセンス良く整然と並べられ、2人のこだわりがうかがえる。客層は20代~50代、60代と幅広い。
ガラス張りのエントランスを入ると、白いクッションが無造作に床に積み重ねられ、それを覆うように設置されているガラス棚に120~130年前のソリが配置されたディスプレーが目に入る。「このソリに乗って店内を空想の旅をしよう」という意味が込められているという。「旅は、実際の場所を訪れることだけを指すのではなく、精神世界の旅も含まれる。実際にある『物』から空想を膨らませていって、精神世界に降りてくるものを集めている。リアルに使えるもの、単純に使いやすいものを追求するのではなく、どんなものに対しても『アート』という視点はとても大切」と正木さん。
同店は栄の中心地から少し離れた場所に位置している。この場所を選んだ理由について、正木さんは「以前の店舗にも、名古屋以外の地域から多くのお客さまがいらしていたため、次は名古屋駅から来やすい場所を選ぼうと思っていた」としながらも、「この辺りはこれからどんどん面白くなって行くのではないかと、今とても注目しているエリア」と続ける。「栄ほど商業的ではなく、それでいて引っ込みすぎていない。隠れ家的な要素はいいが、あまりわかりにくくなってもいけない。この辺りは、ポイントポイントでアート的にも良い店がいくつかできてきている。さまざまなことを総合して魅力的な街だと思う」とも。新たな出店場所の潜在力に期待を込める。
営業時間は12時~20時。