映画「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」やドラマ「33分探偵」など数多くの番組やドラマ、映画の脚本などを手がける福田雄一さんの初映画監督作品「大洗にも星はふるなり」が11月7日から、伏見ミリオン座(名古屋市中区栄1、TEL 052-212-2437)などで公開されている。
同作品は、山田孝之さん扮(ふん)する杉本ら7人の男たちが、愛しのマドンナから届いた1通の手紙を巡り、それぞれが自分勝手なハッピーな妄想を繰り広げ暴走していく「おバカ」ムービー。そのほかの出演者は山本裕典さん、ムロツヨシさん、小柳友さん、白石隼也さん、安田顕さん、佐藤二郎さん、戸田恵梨香さん。舞台となるのは茨城県の「大洗」海水浴場。
作品PRで名古屋を訪れた福田監督は「撮影する段階でこだわったことは、脚本通り『順撮り』すること」と話す。「男同士で飲みに行ったりすると、明け方近くには『おまえ誰だっけ?』というくらいひげが濃くなっていたりする(笑)。そうした物事のグラデーションを押さえたかったため、順取りは絶対的に必要だった」と振り返る。
「前代未聞の勘違いナルシスト男」という設定の杉本役を演じた山田さんは、役柄の印象について「話が進むに従ってキャラが崩壊していく様が面白い。キャラ崩壊の様子を4段階に分けて同一人物と思わずに演じていたが、どれも一貫して人間味があり共感できた」と話す。
現場では、通常撮影時で必要となる「立ち位置」を決めずに撮影が進められたという。「そのため、体半分だけ画面に写ってそのまま消えたり、人物同士が重なっていたり、関係なく後ろに写り込んでいたり…。思えば無駄ばかりの映画かもしれないが、無駄がなくなると映画自体がなくなってしまう」と福田監督は笑う。
「夏がとにかく好きではなく、海も苦手」と話す山田さん。福田監督も同感だといい、「だからこそ、夏の日に家でサザンなどを聴いて妄想していた。そうした自分だからできたことだし、山田さんにもすんなり受け入れてもらえたのでは」と話す。「海がきらいだからわざわざ湘南や江ノ島なんかには行かない。僕にとっての湘南は『大洗』。だから今回の舞台にも設定した」とも。
名古屋では、伏見ミリオン座のほかミッドランドシネマ・ピカデリー(中村区)などで上映。