中部地方を中心とした近隣エリアの農家の野菜を集めて販売する市場「つなぐいちば」が5月8日から鶴舞のカフェ「ヌンクヌスク」(名古屋市中区千代田4)で始まるのに先駆け、4月8日~10日、金山駅南口コンコースで開かれている。
「つなぐいちば」は、中部、北陸、信州、関越地方を中心とした農家を直接訪問し、生産方法にこだわっている農家、味の良い野菜を作っている農家の「市場には出回りにくい」形の野菜などを集めて販売する朝市。計画したのは「農家の人たちがより良い環境で生産していくことができるよう、少しずつでも現状を変えていくことができれば」と脱サラし、一念発起した近藤淳司さん。店頭には野菜のほか、ジャムやチーズ、フルーツジュース、生花などさまざまなものがならぶ。
これまで機械生産の仕事に就いていたという近藤さん。「機械類は海外生産などの影響で国内の産業が衰退し空洞化が進んでいる。視点を変えてみると食の分野でもそうした状況であることを知った」と話す近藤さんは「このままでは、自分の子どもたちなどが自国で生産された食物を食べられない状況になってしまうかもしれない…」と考えたことから、自分で野菜を仕入れて販売する「昔ながらの八百屋さん」をやってみたいと思ったことがきっかけだという。「無機質な機械と向き合っていた反動もあり、生命のあるものに魅力を感じたのかも」と笑顔も。
「スーパーなどに並んでいる商品は店頭価格ありきで農家からの卸値が決まっている。そういう状況ではほんの少しの利益しか農家には入らない」とし、「それでは後継者もなく、農家の高齢化が進むばかり。そうした状況を少しでも変えていくことができれば」との思いも、「つなぐいちば」に込められている。
店頭では近藤さんが対面販売を行う。「農家の方たちの中には『直接、消費者の方と話をしたいが時間がない』と言う方がとても多い。そうした方たちのメッセージを代わりに伝える役目をし、双方の思いをつないでいきたい」と近藤さん。「つなぐいちばでは直接農家さんから仕入れるので、流通経路でかかる費用はかからず、農家発信の適正価格を設定することができる。それでも万人受けする価格にはならないかもしれないが、『わかる人が見ればわかる良いもの』をゆっくりと販売していきたい」と意気込む。
これからの展開について、近藤さんは「『つなぐいちば』のコンセプトや思いに賛同してくれる人がいれば、今後は各地でつなぐいちばを開催するなど、広がりのある活動にしていきたい」とも。
金山駅コンコースでの営業時間は9時~20時。