見る・遊ぶ

名古屋に豊田利晃監督、藤原竜也さん-映画「I’M FLASH!」公開で

来名した藤原竜也さん(左)と豊田利晃監督

来名した藤原竜也さん(左)と豊田利晃監督

  • 0

  •  

 名古屋パルコ東館(名古屋市中区栄3)8階の映画館「センチュリーシネマ」(TEL 052-264-8580)で9月1日から、映画「I’M FLASH!」が公開される。公開に先立ち、豊田利晃監督と主演の藤原竜也さんが来名し、会見を開いた。

[広告]

 「青い春」「空中庭園」など強いメッセージ性を持った同作は、多くの映画ファンに注目される豊田監督の最新作。藤原さん、松田龍平さん、水原希子さんら個性豊かなキャストで送る「生と死」の物語。新興宗教団体の若き教祖として空虚な日々を過ごす吉野ルイ(藤原)は、謎の美女、流美(水原)と出会い魅了される。彼女に「妹は、あなたのせいで自殺したの」と告げられたルイは、教祖を辞める決意をする。しかし教団はそれを許さず、ルイを守るはずのボディーガード、新野(松田)に暗殺の指令を下す。

 タイトルはミュージシャン、鮎川誠さんの楽曲から取ったと豊田監督。「人の人生は世界の歴史から見ると一瞬で終わる。だからこそ、懸命に生きていこうというメッセージを曲から感じた。いつかこのタイトルで映画を撮りたいと思っていた。宗教団体が舞台になったのは、死生観を言葉で日々話すのは宗教の場が多いから。でも宗教団体を描きたいのではなく生死の話をしたかった」

 藤原さんは長年、豊田監督作品への出演を切望していた。「5年以上前から一緒に映画を作りたいと言い続けて、ようやく実現した。監督の作品は10代のころから見ていた。話も面白いし、出ているキャストも魅力的で斬新な撮り方。今まで見たことのない新しい才能に出会ったと、心が揺れ動いたことを強く記憶している」と絶賛する。

 監督も藤原さんを「芸能界全体を見回しても異質な、天然記念物みたいな人。現代風でも昔風でもなく、スクリーンに出ると華がある。すごく映画俳優っぽい人なので、チャンスがあれば一緒に映画を作りたかった」と話す相思相愛の関係だ。

 しかし実際の撮影現場では監督の妥協のない演出で、藤原さんは悩み抜いたと明かす。「非常に過酷な撮影。何回もやりなおして、やっとOKが出る。考えて持ち込んでいったものを、監督は簡単にそぎ落としていく。でも何も考えない演技も許されない。監督に憎しみを抱き、自己否定をしながら、才能のある人と仕事するためには、ここまでやらなければいけないのだと痛感させられた」と振り返る。

 監督は「藤原さんは酒を飲んだり、話したりしている時が一番面白い。演劇の藤原さんではなく、素の彼が出るようにした。今までの映画とは違う藤原さんが映っているはず」と笑顔。

 宗教団体という題材や、生と死という重いテーマでありながら、疾走感や美しい映像も強く印象に残る映画。舞台は監督が「日本人の死生観にある天国の風景に、一番近いと感じる」と語る沖縄が選ばれた。「生と死を描いているけれども、エンターテインメントの映画を作っているつもり。爽快で痺(しび)れるような作品にしたかった。純粋にエンターテインメントを楽しんでほしいし、観客の心に明るさのようなものが残れば」と監督。藤原さんは「沖縄の自然から出るパワーはすごいものがある。間違いなくこの映画に力を与えている」と話す。

 最後に監督は「2011年に映画を撮るなら3.11の影響からは逃れられない。3.11そのものはまだ描けないかもしれないが、死に引きずられる思いを断ち切って生きていこうという決意表明の映画だったら撮れると思った。それがこの作品を作った意味」と映画に込めた思いを話した。藤原さんは「大変な思いをしたが、一つの作品を完成させた達成感がある。発信し続けていれば、何かを作り上げることができるという思いを強くした。少ない予算の中、気概のあるスタッフが集まって完成した映画。ぜひ見てほしい」と映画の成功を祈った。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース