ナディアパーク・国際デザインセンター(名古屋市中区栄3)4階の「creators shop Loop(クリエーターズショップ・ループ)」(TEL 052-265-2106)に現在、イラストレーター・ワキタヨシコさんによる型染めイラストシリーズ「WAKITAO(ワキタオ)」の展示・販売が行われている。半年ごとにクリエイターを選抜、活動を支援する同ショップの第4期出店者に選出された。
福岡県福岡市出身のワキタさんは、武蔵野美術大学油絵学科を卒業。現在は名古屋市緑区の自宅で制作活動を行っている。名古屋について、「木工や陶芸など、物を作る人やそれを見るお客さんも多く、ものづくりが東京よりも身近に感じられる。イベントに出展したときも、作り手とお客さんとの距離が近く感じられる」という。
「私が住んでいる緑区は自然が豊かで、暮らしやすい。道路の道幅も広く、ドライブも楽しめる遊びが充実している。給水塔などの建造物は形が面白い。ふところ餅や生せんべいといった餅菓子は、もちもちした触感でほの甘くとても繊細で、この地域の『もちもちセンス』は素晴らしい」と、名古屋や東海エリアの魅力についても笑顔で話す。
ワキタさんが行う「型染め」は、柿渋を染み込ませた和紙を切り抜いた型紙と米ぬかののり、耐水性のある染料を使って行う伝統的な技法で、日本では古くから着物の染色に用いられてきた。
「学生時代に、人間国宝・芹沢銈介さんの型染めの絵を見て、かっこいい!と思った」と、ワキタさん。7年前には、沖縄の工房で4カ月間、現地の伝統的な型染めの技法である紅型(びんがた)を勉強した。その後、試行錯誤を繰り返しながら、5年前に名古屋に引っ越してきたタイミングで、自然や日常生活をモチーフにしたイラストを制作するようになったという。
「動物や風景がモチーフの模様が装飾された土器などの古い皿や器が好きで、古代の人々と現代を生きる私との共通の感覚として、昔から続く『美しさ』をイラストに表現したい」と、ワキタさん。色使いにもこだわりがある。「黄色にオリーブグリーンを混ぜた色を使うと、自分の絵っぽくなり、落ち着く。カラフルな色使いは好きだが、派手すぎない組み合わせを心掛けている。型染めは、最後の彩色が1番楽しくて気持ちが盛り上がる。単調な作業から解放されて、テンションが上がった時に色付けすることで、絵に勢いと魅力が生まれる」とも。
現在、型染めの原画28点、グッズ45種類を展示・販売する。ワキタさんが1枚ずつ型染めする「手染めカード」(350円~550円)は、「色合いや色のにじみがそれぞれ違う。中でも、タコの絵柄のカードがおすすめ。タコは、ふわっと座る姿や形がかわいい。リアルすぎず、ファンシーすぎずを心掛けながら、新作も作っていきたい」という。型染めのイラストを印刷したポストカード(150円)や祝儀袋(500円)も人気で、「少し特別なプレゼントとして使いたいと思ってもらえるとうれしい」。
「型染めでのイラストレーションやそれを用いた雑貨は珍しいのでは。店内では、型や原画も見ることができるので、型染めを身近に感じてもらい、楽しんでもらえれば」と来場を呼び掛ける。
開催時間は11時~20時。火曜定休。作家在廊日は同店ホームページで確認できる。11月中旬まで。商品は随時入替予定。