「NHK名古屋放送局」制作の連続ドラマ「愛おしくて」が来年1月12日から、NHK総合テレビで全国放送される。放送に先立ち11月12日、出演の田中麗奈さん、吉田栄作さん、秋吉久美子さん、南果歩さん、小林稔侍さんが同局スタジオで会見を開いた。
毎週火曜に「ドラマ10」として放送される同作。今年の1月から2月に放送された「全力離婚相談」に続く名古屋制作ドラマ第2弾となる。9月20日にクランクインし、名古屋市のほか岐阜県多治見市、美濃市などでロケを行った。
岐阜県の山あいの小さな町で、愛に傷ついた女性がもう一度「人を愛おしく思う気持ち」に目覚め、幸せをつかんでいくラブストーリー。男女の揺れ動く人間模様とともに、親子の葛藤や絆の再生を描く。脚本は愛知県在住の黒土三男さんが担当。名古屋市緑区の有松絞り、長良川の鵜(う)飼いの船造り、美濃焼など東海の伝統文化や豊かな自然が、さまざまな形で物語に織り込まれている。
絞り染め作家の小夏(田中さん)は母を亡くし、愛人を作った父にも捨てられ、たった一人で生きてきた。唯一の生きがいである有松絞りの師匠・怜子(秋吉さん)に弟子入りするために岐阜県の工房にやってきた小夏は、犬の世話を通じて知り合った獣医師・光太郎(吉田さん)に心引かれる。しかし、彼が怜子と深い男女関係にあることを知る。そんな中、小夏は美容院を営む女性・紙音(南さん)と暮らす父・辰三(小林さん)に再会する。
出演者5人は撮影が行われている有松絞りの織物が掛けられたリビングのセットに登場。それぞれの演じる役について語った。田中さんは「小夏は複雑な過去を持った愛をなくした女性。撮影が進むほど、小夏が心を取り戻していく感覚があり、心地よく感じている。人との触れ合いの中で、彼女が人を愛おしく思う心を取り戻していくことが物語の軸。恋愛もあり、人間模様もある面白い大人のドラマになっている」と話した。
吉田さんは「光太郎は開業を助けてくれた恋人・怜子と、心が引かれ合う小夏の間で揺れ動く。心の動きが全8話の物語でうまく表現できればと思っている。ラブストーリーは10年ぶりなので、新鮮な気持ちで演じている。ドラマを楽しみにしていただけたら」と話した。
秋吉さんは「怜子は芸術家で実業家。地域の政財界と関わり、恋敵になった小夏とも争う中高年にあるまじき激しい役。年下の小夏に比べ、大騒ぎして一生懸命にあがいている。年を取ったら一歩引くのが今までの美学かもしれないが、中高年の希望につながればいいと思って演じている。頑張れと応援して見てほしい」と呼び掛けた。
恋人同士を演じた小林さんと南さんは、20数年前に親子役で共演したという。南さんは「20数年たって小林さんの娘役から愛人役になれたのは感慨深い。紙音は自立した女性で、究極の許す愛を持っている。私が男だったなら、こんな人と出会いたいと思うすてきな女性を演じさせていただいた。3人の恋愛バトルがメーンストーリーだが、紙音たちの穏やかな愛の姿も見ていただきたい」と笑顔。
小林さんは「人生を積み重ねた南さんとの共演にはとても興味があった。一言一言の気づかいや、男性をほっとさせるような雰囲気をとても感じた。田中さんは初共演。涼しげで、こういう娘がいたらいいなと思えた」と話した。
会見終了後、同スタジオで番組収録をメディアに公開。田中さんと秋吉さんの共演するシーンの撮影が行われた。