栄の映画館「伏見ミリオン座」(名古屋市中区栄1)で9月16日から、上映企画「溝口健二&増村保造 映画祭 変貌する女たち」を開催する。
溝口健二没後60年と増村保造没後30年に、師弟関係だった2人を特集する特別企画。両監督の名作の数々から「変貌する女たち」というテーマで作品をセレクト。溝口監督作品4本、増村監督作品6本をモーニング上映する。
溝口健二は「愛に甦(よみがえ)る日」(1923年)で監督デビュー。リアリズムに裏打ちされた作品群で高い評価を受け、「西鶴一代女」などで「ヴェネチア国際映画祭」3年連続受賞。ジャン=リュック・ゴダール、フランソワ・トリュフォー、エリック・ロメールなど、国内外の映画監督に影響を与えた。
増村保造はイタリア国立映画実験センターに留学してフェデリコ・フェリーニやルキノ・ヴィスコンティなどに師事。帰国後に溝口健二、市川崑の助監督を務め、「くちづけ」(1957年)で監督デビュー。女優・若尾文子や脚本家・白坂依志夫、新藤兼人らとタッグを組み、大映黄金期の数々の作品を監督した。1970年以降はテレビ界にも進出し、山口百恵の「赤いシリーズ」の監督や「スチュワーデス物語」「ザ・ガードマン」の脚本なども手掛けた。
上映は溝口監督作品が「山椒大夫(さんしょうだゆう)」「雨月物語」「近松物語」「祇園囃子(ぎおんばやし)」。増村監督作品が「刺青(しせい)」「『女の小箱』より夫が見た」「最高殊勲夫人」「妻は告白する」「青空娘」「卍(まんじ)」。計10本を日替わりで上映する。「雨月物語」は4Kデジタル復刻版。
同館スタッフは「虐げられた女性の姿を冷徹に描き『女性映画の巨匠』と呼ばれた溝口監督と、生命力に満ちた強烈な自我を持ち、愛憎のために突き進む女性像を創出した増村監督。女性を愛し、女性を描いた2人の巨匠の代表作を上映する。スクリーンで世界に誇る傑作の数々を堪能していただけたら」と話す。
料金は一般=1,600円、シニア=1,200円。10月5日まで。