今池のライブハウス「TOKUZO(得三)」(名古屋市千種区今池1)で8月28日、フリーライター・大竹敏之さんのトークイベント「大竹敏之トークライブ~魅力のない街No.1なごや、ホントに思ってる?~」が開催された。
日本舞踊西川流四世家元・西川千雅さんが「名古屋をどり」を紹介
名古屋の魅力を紹介する書籍「なごやじまん」(ぴあ)の出版を記念した同イベント。同書は名古屋に関する多くの著書を持つ「名古屋ネタライター」の大竹さんが、地元に住む人々が自慢したくなる街の魅力を食文化から新旧の名所・スポットまで多彩に紹介した「雑学的名古屋ガイド」。
会場となったTOKUZOは同書で「カオスな街・今池の象徴」と紹介されたライブハウス兼居酒屋。イベントは「名古屋をどり」の日本舞踊西川流四世家元・西川千雅さん、名古屋弁落語家・雷門福三さんをゲストに招き、2部構成で行われた。
第1部では東海ラジオアナウンサーの源石和輝さんをMCに、大竹さんが同書を執筆した動機や、取り上げた「なごやじまん」の数々と選出理由などを語った。大竹さんは名古屋が「魅力がない街No.1」となった都市ブランド・イメージの調査結果や雑誌「週刊ポスト」の「名古屋嫌い特集」などを解説。自分の住む街の良さを強く主張しない名古屋人の気質について語り、「もともと名古屋論の総論となる一冊を書きたいとの思いが強くなっていた時期だったことに加え、最近の調査や記事もこの本を執筆する大きな原動力になった。いいところはいいと自分たちで主張しようと呼び掛けたかった」と話した。
大竹さんは、徳川美術館や東山動植物園がなぜすごいのか、立ち飲み横丁として特異な発展を遂げた伏見地下街、名物でありながら一番誤解されている名古屋めし・ういろう、きしめんの魅力など、さまざまな「なごやじまん」を写真とともに解説した。
第2部はゲストの2人が名古屋の伝統文化を披露する「実演なごやじまん」からスタート。福三さんは松坂屋、丸栄など名古屋の老舗4百貨店を擬人化した新作名古屋弁落語を上演した。千雅さんは70年の歴史を持つ舞台「名古屋をどり」を紹介。1960(昭和35)年に生まれたザ・ピーナッツ歌唱の「今池音頭」を題材に、観客に日本舞踊をレッスンした。
実演を終えた2人は大竹さん、源石さんと共に、観客に書いてもらった「なごやじまんカード」から面白かったものをピックアップして名古屋文化の魅力を話し合った。個性的な映画館や劇場、武将観光やおもてなし文化、「台風が避けがち」など、さまざまな意見が集まり、観客は4人のトークを楽しんだ。名古屋城の木造復元に関して、福三さんが「期間を決めずに丁寧に復元し、サグラダファミリアのように完成するまでの進ちょくを観光客に見てもらってはどうか」と持論を語ると、会場から大きな拍手が起きた。
最後は千雅さんの掛け声で、名古屋独特の手締め「なも締め」を会場全員で行った。イベント終了後、大竹さんはサイン会を開催。サインを書きながら、来場者一人一人に感謝の言葉を述べた。
発売記念トークショーは、丸善名古屋本店(9月10日)、ボクモ(9月27日)、名古屋パルコ「carlova360」(10月9日)、鶴舞中央図書館(10月28日)で、ゲストを変えながら順次開催予定。大竹さんは「書店関係者と話す『なごや本』事情や『大阪対名古屋』など、話すネタもいろいろ変えていくので、足を運んでいただけたら」と話した。
書籍の仕様は四六判、180ページ。価格は1,620円。