栄の映画館「名演小劇場」(名古屋市東区東桜2)で4月21日、公開中の映画「ばぁちゃんロード」の舞台あいさつが行われ、篠原哲雄監督と主演の文音(あやね)さんが登壇した。
映画「ばぁちゃんロード」は、足をけがして施設で暮らす祖母と結婚を間近に控えた根っからの「ばぁちゃんっ子」の孫娘が、一緒にバージンロードを歩くためにリハビリを重ねて奮闘するハートウォーミングなドラマ。「映画美学校プロットコンペティション2016」で最優秀賞を受賞した上村奈帆さんのプロット・脚本を基に、「花戦さ」「起終点駅 ターミナル」の篠原監督がメガホンを取った。孫娘・夏海を文音さん、祖母・キヨを草笛光子さんが演じる。出演はほかに三浦貴大さん、桜田通さん、鶴見辰吾さんら。
上映終了後に2人が登壇すると、客席から大きな拍手が起こった。文音さんは「今日は神戸、大阪と舞台あいさつしてきたが、この劇場には本当のステージがあって、まさに『舞台』あいさつ」と客席を見渡した。4月14日の公開時に「ぴあ映画初日満足度ランキング」で実写映画1位を獲得したことが発表されると、観客からは再び拍手が送られた。
草笛さんは3年前にドラマで共演して以来、プライベートでも仲良く交流しているという文音さん。「おばあちゃん役が草笛さんだと聞いた時、親密な関係が役作りに生き、私たちにしかできないものがあると感じた」と語る。篠原監督は「2人の自然な感じを大切にしながら、会話もできるだけ、せりふっぽくないよう、心掛けた」と振り返る。
印象に残っているシーンについて文音さんは「バージンロードのシーンは撮影の最後の日に撮ったので、おばあちゃんへの思いとともに、お父さんお母さん、リハビリチーム、結婚相手である大和が向こう側にいて、本当にグッと来るものがあった。映画の集大成だったのかなと感じた」と話す。
最後に文音さんは「こういう映画はテレビの中で見るより映画館の暗闇の中で見る方が感動的。この映画は愛にあふれているが、愛は目に見えないし、形もないので、感じることしかできない。今日見た皆さんがそれを少しでも感じてもらえたら、自分の大切な恋人や家族に話し、また映画館で見ていただけたら」と呼び掛ける。篠原監督は「おばあちゃんと孫という関係が希薄になっていると言われがちだが、実際はこういう家族もいる。そういうことを正々堂々と描くことができた映画なので、僕たちも自信を持って完成させた作品。多くの方に広げていただければうれしい」と映画の成功を祈った。