栄の映画館「名演小劇場」(名古屋市東区東桜2)が、3月23日をもって映画上映活動を休止する。運営は「名演会館」。
1972(昭和47)年の創業以来、演劇公演を行う劇場として演劇・音楽・落語などの文化行事を催行。2002(平成14)年からは映画上映を始め、2004(平成16)年には2スクリーン体制による常設館として国内外の映画を上映し、ミニシアターとして地位を築いてきた。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う休業要請を受け、一時休館を余儀なくされるなどの苦難もあったが、2022年1月には開館50周年を迎えた。
しかし、円安進行による物価高騰や個人消費の停滞など経済状況の影響は大きく、数年にわたる経営悪化と建物・設備の老朽化に伴い、休館が決まった。
今年2月に発表後、利用客から惜しむ声が多数寄せられたという。名演会館の薮下梓さんは「当館での思い出をつづった手紙も頂いた。劇場スタッフに直接ねぎらいの言葉をかけてくださる方も多く、本当にありがたく感じた」と振り返る。中には復館に向けてのアイデアを進言する人もいたが、「一時的な救済措置のみでは厳しいのが現状」(薮下さん)という。
名演会館社長の島津秀雄さんは「どういった形であるにせよ、再びお目にかかれる日が来ることを心から願っている。今後の予定は未定だが、劇場を何らかの文化的な活動に利用してもらえたら」と話す。