国際芸術祭「あいち2025」の記者会見が9月12日、愛知芸術文化センター(名古屋市東区東桜1)で行われ、参加アーティスト第2弾が発表された。
漫画家・五十嵐大介さんが描いた国際芸術祭「あいち2025」キービジュアル
同芸術祭は「灰と薔薇(ばら)のあいまに」をテーマに、2025年9月13日~11月30日の79日間にわたり開催される。主な会場は名古屋市の愛知芸術文化センター、愛知県陶磁美術館、瀬戸市のまちなか。
この日は、マユンキキさん、佐々木類さんら「現代美術」に出展する26組、「パフォーミングアーツ」に参加する6組を新たに発表。2月に発表された4組と合わせ、計36組となった。
芸術監督のフール・アル・カシミさんは「選んだアーティストたちの作品や、制作する際の思想やプロセスは、常に尊敬の念を持って見てきた。アーティストたちには、愛知をじっくり見て、作業に取り組んでもらいたい」と話す。選定基準については「満たすべき基準があったわけではないが、戦争がある現状をどのように見るかなど、彼らの作品の中に流れているものには共通点がある。私自身が名古屋や瀬戸に足を運び、その場所に合う人は誰なのかを考えた。私は、場所とアーティストの間に立つ仲人のようなものだと思っている」と語る。
会見には、ケニア出身のワンゲチ・ムトゥさん、米国出身のマイケル・ラコウィッツさんら7組のアーティストが登壇。それぞれの創作や構想について語った。メキシコ出身のミネルバ・クエバスさんは、瀬戸市ゆかりの洋画家・北川民次を題材にした作品の構想を練っているという。「北川民次は15年にわたりメキシコに住み、メキシコ文化に造詣が深かった人物。彼がもたらしてくれたメキシコの歴史、関係性について分析し、コンテンポラリーアートとして表現したい」と語った。
この日は、漫画家・五十嵐大介さんによるキービジュアルも発表。芸術祭のコンセプトとなったシリア出身の詩人アドニスの詩を基に描いたという。アル・カシミさんは「戦争で荒廃してしまった地をどのように美しい将来につなげていくのかという問題に、真摯(しんし)に取り組んだ詩。時代は違うが、今も戦争がさまざまな地域で発生している。私たちは、その中から何かを見いだし、芸術で状況をひもとき、将来につなげていかねばならない。このコンセプトを見事に表現してくれた五十嵐さんに心からお礼を申し上げたい」と話す。
開催まで約1年となり、準備状況を問われたアル・カシミさんは「参加アーティストは36組となり、大体半分を超えたところ。カウントダウンが始まったが、チームは団結している。この形で進んでいけば、順調にいくはず」と自信を見せた。