
国際芸術祭「あいち2025」の開催に合わせて企画したミュージアムショップ「TEMPORA(テンポラ)」が9月13日、愛知芸術文化センター(名古屋市東区東桜1)地下2階に期間限定オープンした。
国際芸術祭「あいち2025」の開催に合わせて期間限定営業するミュージアムショップ「TEMPORA」店内
同日始まった「あいち2025」のテーマは「灰と薔薇(ばら)のあいまに」。災害のような破壊を象徴する「灰」と、共生や繁栄を象徴する「薔薇」、二極化を避け、両者の境に疑問を投げかけながら、人間と環境の複雑に絡み合った関係について幅を持った思考を模索する。
同ショップの企画・運営は、名古屋のブックショップ&ギャラリー「ON READING」(千種区)を営む黒田義隆さん、杏子さんが担当する。
店内では、同芸術祭参加アーティストのアートブックのほか選書した書籍を中心に並べるほか、オリジナルアイテムも販売する。書籍は、和書、洋書、古書合わせて約3000冊を用意。全4組のアーティストの作品を展示するスペースも設ける。
義隆さんは「テーマを自分たちなりに解釈して企画。さまざまなアーティストと共同し作り上げた。扱う本は、戦争や紛争、植民地、差別、植物や動物などの生き物といった灰とバラを表現する物のほか、その間から感じ取れる『再生』など、さまざまな要素から選書した」、杏子さんは「個人の立場や視点はそれぞれなので、芸術祭鑑賞後の感じ方もさまざま。きっと見終わった後に自分でよく理解する時間が必要。本は感じたことについて考えを深めたり、広めたりできるのでは」と話す。
オリジナルアイテムは、地域にゆかりのあるクリエーターとコラボした、土産にもなる商品を用意。豊田の焙煎(ばいせん)工房のコーヒー豆を「暴力的」な深いりでいったん風味を焼失させて作ったというコーヒーのドリップパックや、名古屋が拠点のティーブランドが世界5大陸にある茶葉や植物をブレンドしたハーブティーなどを販売する。
義隆さんによると、会場の什器の8割は廃材でできているという。「この材料があるから、こうしようというように、ある物で作った」と義隆さん。
廃材で作ったスタンドでは日にち指定で、東海圏の飲食店が日替わりでポップアップ出店する。販売するのは、菓子、コーヒー、ハーブティー、弁当など。義隆さんは「企画説明の際に、飲食店の方々も環境問題などに考えを持っているのが分かった。普段、それぞれの店でできないことをこのスタンドで表現してもらえるのでは」と話す。
営業時間は10時~18時(金曜は20時まで)。月曜定休(祝日の場合翌日休業)。11月30日まで。