
愛知県芸術劇場(名古屋市東区東桜1)が10月1日、主催する戯曲賞「AAF戯曲賞」のリニューアルを発表。2年ぶりとなる作品公募を始めた。
同戯曲賞は、劇作家の発掘・育成、愛知からの文化創造・発信を目的に、2000(平成12)年に創設。第1回から14回は「貴方(あなた)の戯曲(ほん)が舞台(げき)になる」、15回から22回は「戯曲とは何か?」をテーマに作品を募集。上演を前提とした戯曲賞として行ってきた。
同劇場は、創作方法を見直すとともに、創作に必要な期間を確保し、健全な創作環境を整えるため、昨年7月、第22回受賞記念公演を2025年12月の上演に延期し、事業内容のリニューアルを検討するために2024年度の募集を行わないことを発表。
社会の価値観の多様化などを踏まえて検討が重ねられ、第23回から新たなテーマで開催することが決まった。
新テーマは「言葉と個と場と」。同戯曲賞を担当する同劇場の仲村プロデューサーは「戯曲賞創設から25年、ここ愛知からどのような演劇シーンを発信するのが良いか改めて考えた。多様な個が集まった創作、劇場などの空間を共有する芸術という演劇の要素をいかし、戯曲の言葉を通じて個と場と社会をつなぐ取り組みを進める。演劇や戯曲が持つ力や可能性をさらに広げながら、地域や社会の課題にアプローチする事業も展開していく予定」と話す。
選考方法もリニューアル。これまで審査員は、主に劇作家や演出家が務めてきたが、今回からは、さまざまな立場で舞台芸術に携わる人を起用して審査を行う。
審査員は、1次審査=小原健太さん、河合千佳さん、佐和ぐりこさん、仲村悠希さん、村社祐太朗さん。2次・最終審査=荒井洋文さん、倉田翠さん、平塚直隆さん、廣川麻子さん、山口茜さん。
募集内容と条件は「あなたの考える演劇上演のためのテキストであること」(外国語のテキストの場合は作者本人の責任による日本語翻訳を添付)。既発表・既上演作品も応募可(他戯曲賞での受賞歴がある作品は不可)。作品点数は1人1点に限る。大賞受賞作品は、2027年度以降に戯曲受賞記念公演として上演する予定。賞金は大賞=50万円、特別賞=10万円。
応募期間は12月10日まで。2026年2月下旬に1次審査通過作品、4月中旬に2次審査通過作品を発表。5月下旬に愛知県芸術劇場で最終審査を公開で行い、受賞作品を決定する。
仲村プロデューサーは「今を生きる劇作家の目を通して書かれた戯曲は、現代社会を映す鏡。劇作家を育て、上演を通して未来につなぐ愛知発の戯曲賞。新しくなったAAF戯曲賞に注目してもらいたい」と話し、多くの応募を呼びかける。