映画館「伏見ミリオン座」(名古屋市中区栄1、TEL 052-212-2437)で3月10日より、映画祭「溝口健二の映画」が開催される。
同映画祭は、1923年~1956年まで映画監督として活躍した溝口健二の作品を2週間にわたり特集上映するもの。同監督は34年間で約90本を完成させたが、現存するものは30数本のみで、今回はそのうちの11本を上映する。
溝口健二は、1952年「西鶴一代女」でベネチア国際映画祭国際賞を受賞、翌53年、「雨月物語」でベネチア映画祭銀獅子賞を受賞。翌54年「山椒太夫」で再びベネチア映画祭銀獅子賞を受賞し、3年連続でベネチア映画祭受賞という偉業を成し遂げている。
ヨーロッパでの人気は黒沢明監督や小津安二郎監督を凌ぐものがあり、昨年のベネチア映画祭では回顧上映が行われたほか、ニューヨークでも特集上映された。フランソワ・トリュフォー、ジャン=リュック・ゴダール、アキ・カウリスマキなどの映画人たちに多大な影響を与え、「ミゾグチ」の映画に影響されたと公言する映画作家も少なくない。
世界でのこうした評価とは裏腹に日本での「溝口健二」の知名度は低く、日本国内では過去15年間、本格的な特集上映が行われていない。日本国内で同氏の映画を再評価しようと開催される今回の映画祭では「溝口健二入門編」となる代表作をそろえ、全作品ニュープリントで上映を行う。23日まで。