ぴあ(中部支店=名古屋市東区)は10月19日~21日の3日間、「愛知県芸術文化センター」(東区東桜1)12階アートスペースAで「第29回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)」を開催する。「日本最大の自主製作映画コンペティション」と言われる同映画祭は、年々応募総数が増え、今年は780本の応募があった。当日は選ばれた14作品が上映される。
同コンペティションでは、グランプリなどの賞を受賞した監督の中から後日企画書を募る。それらをプロデューサー、PFFパートナーズ各社が約3カ月をかけて選び、「最も期待したいフィルムメーカー」1人に映画制作を援助する制度「PFFスカラシップ」を設けている。今年、企画提出の権利を獲得した監督は7人。
その中で、準グランプリを受賞したのは、愛知県出身の尾崎香仁(おざきよしひと)監督。受賞作品の「その子ども」は、足の少し悪い主人公の美咲が、仕事も友人関係もうまくいかないのは自分の足が悪いせいだと思い込み、「子どもができればすべてが変わる」と短絡的に思い、数少ない男友達に「子どもを作ろう」と唐突に話を持ちかける。そんな間違った行動を咎める友人の言葉にも耳を貸さない美咲の頑な姿勢に、友人たちもうんざりしきつい言葉を投げつけるが美咲の思考は一向に変化しない。
同作について尾崎監督は「大学卒業後、イギリスに留学していた際に今回の作品のアイデアを思いついた。留学中は自分の悪い部分を内観していた時期でもあり、被害者意識の強い主人公の美咲に共感する部分が多分にある」とし「自分の性格に悩んでいる人や、これから子どもを生もうとしている人などにも見てほしい」と話している。
「自分の成長のために、また、人の役にたつことができるかもしれないという気持ちから映画を撮っている」と話す尾崎監督は、準グランプリを受賞したことについて「自分が受賞するとは思っていなかったので驚いている。周りにいるみんなのおかげ」とし、「PFFは映画を仕事としていけるチャンスがしっかりしているので応募した。夢は映画を仕事にすること」と笑顔を見せた。
尾崎香仁監督の作品「その子ども」は、20日の13時30分から上映される。開演10分前には監督の舞台あいさつも予定。