名古屋市美術館で「北斎展」-300点集め17年ぶりの本格的開催

北斎《富嶽三十六景 凱風快晴》江戸東京博物館蔵

北斎《富嶽三十六景 凱風快晴》江戸東京博物館蔵

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 名古屋市美術館(名古屋市中区栄2、TEL 052-212-0001)で2月9日より、北斎の作品、約300点を集めた展覧会「北斎展」が開催されている。同展は、17年ぶりの本格的展示で、オランダとフランスに残されている北斎の風俗画などが初めて「日本に戻って来た」ことでも注目を集めている。

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 同展は、同美術館学芸委員の神谷さんと、ライデンのオランダ国立民族学博物館の学芸員が10年来の「北斎仲間」(神谷さん)だったことから実現した。2人は「いつか協力して日本で、北斎を『世界の名だたるアーティスト』としてとらえ、研究的な側面からも切り込んだ展覧会をしよう」と話していたという。出展作品の中には、2005年に東京で開催された北斎展の時に、出国を断られた作品もいくつか含まれている。「フランス、オランダの両国は美術品を外に出すことに関してとても厳しい国だが、こちらの熱意が伝わり、持ち出すことを承認してくれた」と神谷さんは振り返る。

 オランダ・ライデン国立民族博物館と、フランス・パリの国立図書館にある北斎の作品は、文政年間(1818年~1830年)に、長崎の出島に滞在していたオランダ商館長たちが、4年ごとの江戸参府のたびに北斎のもとを訪れ、人々の暮らしぶりを描いた作品を依頼し、祖国に持ち帰っていたものであることがわかっている。

 中でも、オランダ国立民族博物館のものは、シーボルトが持ち帰ったものとされている。オランダ商館の医師として日本に滞在していたシーボルトは、同時に日本に関する情報収集も任務であったため、日本の日用品や工芸品、地理学などさまざまなものを収集していた。その中にはオランダの紙に描かれた風俗画の作品も含まれており、それらがオランダ国立民族博物館に所蔵されているという。

 同展では2部構成で作品を展示。1部では、初めて同時里帰りが実現した、オランダとフランスの2カ所に分蔵されている当時の風俗画などの作品を展示。北斎が弟子とともに描き上げた作品の「意味」を、参考作品や参考資料などを交えて検証し、より研究的な専門性の高い内容で展開する。2部では、風景版画家として知られる北斎の代表作品などを展示。よく見慣れた身近な作品を中心に、北斎のあふれんばかりの才能を紹介。1部と2部合わせて約300点を展示する。版画作品は明るい光に当てたり、長時間展示すると色があせてしまうため、一部入れ替えを行いながら、暗い照明の中で展示するという。

 展覧会初日は、雪が降り積もった日であったのにもかかわらず約1,400人が訪れた。「名古屋市美術館として自信と誇りをもって開催している北斎展を、より多くの人に見てもらいたい」と、神谷さんは大きな期待を寄せている。

 開館時間は9時30分~17時(入場は16時30分まで)、金曜日は20時(入場は7時30分)まで(祝日にあたる場合は除く)。月曜休館。3月23日まで。

名古屋市美術館

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