耳栓と目隠しの即興ギタリストがCD発売-収録曲は1曲55分

渓さんのソロアルバム「Tamatsi Maxa Yuawi(タマツィ・マラ・ユァウィ)」ジャケット

渓さんのソロアルバム「Tamatsi Maxa Yuawi(タマツィ・マラ・ユァウィ)」ジャケット

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 名古屋を中心に活動するアーティストの音源を中心にリリースしている音楽レーベル「coup(クー)」(名古屋市大須3、TEL 052-262-6750)は8月15日、名古屋を中心に活動するギタリスト、渓(けい)さんの4枚目となるソロアルバム「Tamatsi Maxa Yuawi(タマツィ・マラ・ユァウィ)」(4,500円)を発売した。

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 1997年まで大阪のバンド「花電車」にギタリストとして在籍していた渓さんは現在、アコースティックデュオ「Ett(エット)」、フリーインプロデュオ「flyline(フライライン)」など幅広いジャンルで活躍している。極力デジタル楽器に頼らずにライブ演奏を行う渓さんのスタイルは、多くのコアな音楽ファンから支持を集めている。

 CDに収録されている楽曲は約55分という長さで、コンセプトは特に設けず、耳栓と目隠しをした状態の渓さんが、即興でギターを思いのままに奏でている。楽曲について渓さんは「制作の全ての段階を終えて完成品を眺めた時、ある一定のテーマがそこにあることを発見することはあるが、言葉にして説明できる程度のものを初めに立てて創作したところで、生き生きとしたものは生まれない。今回は『無意識』と『循環性』という二つのことが制作の間中、幾度も意識され、それがアルバムにも表れている」と話す。

 「青い鹿」を意味するウイチョル語をタイトルに冠した2枚組の同アルバムは、蛇腹状に畳まれた約180センチのジャケットが特徴で、そこにはメキシコの少数民族「ウイチョル族」が描いた輪廻転生をテーマにした物語的な絵が印刷されている。

 アルバム発売日の8月15日には、今池のライブハウス「得三(とくぞう)」(名古屋市千種区)で発売記念ライブを行い、集まった多くの音楽ファンは渓さんがかき鳴らすギターの音色に耳を傾けていた。「特殊な音楽であるにもかかわらず、多数のお客様がいらしてくださったことにとても感謝している」と渓さん。「(発売したアルバムは)理解され難いことは承知している。しかしライブ演奏を実際に見ていただければ、難解な代物でないことが分かっていただけるのでは」とも。

 今後の活動について、渓さんは「通常の意味合いで今後というなら、これから余分なものが取れていくといいと思う。ただ私自身は未来について考えることはしない。過去現在未来の三つは、私たちが常識的に理解しているように、直線的な時間軸上に離れて整列するだけではないと思う。今回のアルバムの演奏、つまり録音物の中にそれを表せているかもしれない」と笑顔を見せる。

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