1978年に結成、1980年にメジャーデビューを果たし、以来日本の音楽シーンに多大な影響を与えたと言われる伝説的なパンクバンド「ANARCHY(アナーキー)」を追ったドキュメンタリー映画「アナーキー」が1月31日から、今池の映画館「シネマテーク」(名古屋市千種区)で公開される。
公開を記念して、初日上映終了後に同バンドのボーカル・仲野茂さんのトークショーを開催。相手を務めるのは、名古屋を中心としたコンサートやライブの企画、運営を行う「ジェイルハウス」(東区代官町)代表の武内吾郎さん。元々アナーキーの大ファンで、後期アナーキーのライブの運営スタッフをしていたという武内さんに「久々にいろいろな話をしよう」と仲野さんから声がかかったことから、今回のトークショーが企画された。
アナーキーは、埼玉の典型的な「不良」と言われる5人組が、イギリスで人気があったパンクバンド「セックス・ピストルズ」に影響を受け結成。当時「作り込まれた」音楽が全盛の日本で、日常から生まれる不満や怒りを、荒い演奏に乗せ、飾らない自分たちの言葉ではき出した彼らの音楽は、当時の中高生を中心とした若者らに強い衝撃を与えた。
「日本のパンクロックという意味では唯一の存在なのでは」と振り返るのは武内さん。「頭で考えずに感覚で動いているところがかっこいい。本当の不良少年が『音楽』に出会い、そこからはき出されるものはとてもに魅力的で、あこがれの存在だった」と振り返る。5万枚で大ヒットと言われる当時、ファーストアルバム「アナーキー」は13万枚の売り上げを記録。「メジャーというフィールドで、パンクロックをお茶の間にたたきつけた」(同)。
映画では、メンバーそれぞれが当時を振り返り、赤裸裸に話を展開。デビュー当時の映像などが挿入され、当時の「アナーキー」を知らなくても、その勢いを実感することができる。併せて、脚本家の宮藤官九郎さんや、甲本ヒロトさん、遠藤ミチロウさん、三代目魚武濱田成夫さん、怒髪天の増子直純さん、イースタンユースの吉野寿さん、中村獅童さん、清春さんなどの各界著名人らが、アナーキーの魅力や、影響、バンドに対する思いを熱く語っている。
「中学生のころ、初めて『ライブ』を見に行ったのがアナーキーのライブだった。本当にドキドキして、帰り道は友達と2人で放心状態だった」と武内さんは笑う。「そんな衝動を、今の自分の仕事を通して感じてくれる人がいるとうれしい」と、現在にもつながる当時の思いを振り返る。
トークショーは、1月31日20時40分からの上映終了後に行なわれる。映画の公開は2月6日まで。