名古屋パルコ(名古屋市中区栄3)の書店「リブロ名古屋」(TEL 052-264-8526)で7月17日、愛知県・岡崎市出身のブランディングディレクター・安藤竜二さんのトークショーが開催された。安藤さんが7月6日に発売した単行本「地元の逸品を世界に売り出す仕掛け方―『知る人ぞ知る』を『カネのなる木』に変える」(ダイヤモンド社、1,575円)の発売を記念して行われたもの。
「ササムライ日本プロジェクト」と銘打ち、地元産業を活性化する活動を積極的に行なっている安藤さん。同プロジェクトでは「良質なものを作っているのに、全国に発信する術をもたない地域の中小企業のために」(安藤さん)、各企業と提携しブランドを「サムロックブランド」に統一。話題性のある個性的なパッケージデザインとともに、全国規模の流通に乗せることで販路を拡大し、地元企業の活性化を図る。
主な活動は、岡崎の酒造メーカー・大岡屋(愛知県岡崎市)が製造していたサイダー「五万石サイダー」のリニューアルや、みそメーカー・まるやが製造する「八丁味噌」、三州菓子工房・中田屋の「かりんとう」など。約30社の主力商品のパッケージを一新させている。
「せっかく質の良いものを丁寧に作っているのに、地域の中小企業の方たちはそれらを宣伝する術をもっていない」と話す安藤さん。「一人ではできないが、みんなの力を合わせることで注目される」とし、「地域活性化などと難しいことを言うよりも、興味を持ってもらうことが大切。キャッチーなパッケージは、自分と同年代の35~45歳を中心に幅広く受け入れてもらっている」と笑顔を見せる。
84円で月間約100本の売り上げだった「五万石サイダー」は、「三河国サムロックサイダイー」に名前を変え、価格を200円に上げたにもかかわらず月間約1万本の出荷量に跳ね上がった。「スーパーなどのオープン価格で販売するところには卸さない。自分たちがコントロールできる範囲で活動していかないと意味がない」という。「何よりも継続させることが重要」と話す安藤さんは「地域の名前を冠にして地域を巻き込んで行なっている以上、命がけでやっている。志を同じくする人たちと全国規模でやっていきたい」と意気込みをみせる。