大須のフォト&アートギャラリー「プシュケ」(名古屋市中区大須2、TEL 052-253-5919)で現在、カメラマン・安野亨(あんのとおる)さんとイトウ ヨシトミさんによる4×5カメラを使ったポートレート展「LA FEMME 100 TETES 百頭女(ひゃくとうおんな)」が開催されている。
今回は4インチ×5インチのフィルムサイズでポートレートを撮ることを共通項とした二人展。安野さんの作品は、「長時間露光」という手法で撮影した写真6点、コラージュ作品4点。イトウさんは、大全紙に印刷したモノクローム写真10点を展示している。
同ギャラリーのオーナーでもある安野さんは「このサイズのフィルムは、今はあまり使われていない」という。「フォーマットが大きく、印刷のときに大きく引き伸ばせる。アオリの操作ができて、ボケ味が良い。このフィルムを使った写真展を行いたかった。(同展の)タイトル『百頭女』は、尊敬する美術家のマックス・エルンスト氏のコラージュ集からの引用」
安野さんの作品の被写体は5人の女性モデル。「今回はシャッターを1~3分開いて撮影した。露光時間を長くすると、写り方が平均的になるのではと思ったが、そうではなかった」と安野さん。「被写体に指示はしていないが、シャッターが開いている間に話し掛けたり、突然笑いだしたり、3分という時間は長いと思った。(そういった手法で撮影すると、)個人としての表層や姿形がだんだん崩れてきて、内面的なものが写し出せる。そこには、被写体の本質により近い『内面的フォルム』が残った」
「長時間露光」の作品は今月6日~17日、今池のギャラリー・カフェ「CHIMERA(キメラ)」(千種区仲田町1、TEL 052-799-8009)で安野さん単独の写真展「優しい時間 ~揺~」を開いている。「昨年にプシュケで行った写真展と同じテーマで、キメラの空間を生かした展示を行う。カフェメニューに合わせて『和』の要素を取り入れているところもお楽しみに」(安野さん)。同店の営業時間は11時30分~20時30分。最終日の展示は17時30分まで。
イトウさんは名古屋市出身で、現在も同市内で活動している。祖父の影響でカメラを始め、カメラ歴は15~20年。長年撮り続けているモノクロームの良さについてイトウさんは「フィルムでの撮影からプリントまで、デジタルの部分がなく、自分でコントロールできる。パソコンなどの機械に頼らずに、全て手作業でできるところが魅力」と話す。今回の作品については、「実際に見て、感じて、考えてもらえれば」と来場を呼び掛ける。
開催日は11月2日~4日と9日・10日。開廊時間は12時~20時(最終日は19時まで)。