「名古屋おもてなし武将隊」の豊臣秀吉ら5人が3月29日、同隊を卒業し、名古屋城の二の丸広場で「出立式」が行われた。
名古屋の観光PR活動を目的に、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康ら有名戦国武将6人と、陣笠隊4人で2009年に結成した同隊。名古屋城内で「おもてなし」と呼ばれる観光案内や写真撮影、演武を行うほか、イベント、メディアに出演して名古屋の魅力を伝えている。
卒業するメンバーは豊臣秀吉、前田利家、前田慶次の3武将と、陣笠隊の亀吉、元気!の計5人。 この日は雨の降る中、現メンバー10人がそろう最後のステージを見るために約2000人のファンが集まった。
メンバーが登場すると、雨は小降りに。信長は「集まってくれた者も、援軍かなわなかった者も、支えていただいて心より感謝しておる。あいにくの雨だが、今日は我らの伝えられる全てを皆に届けたい」とあいさつ。現在の10人で行う最後の演武を披露した。
演武後、卒業するメンバー1人ずつがあいさつを行った。元気!は「応援していただいた皆さまに感謝の言葉がみつからない。約3年間、本当に幸せだった」と振り返った。
亀吉は「一番年下の陣笠隊だったのに、5年で最年長の足軽になっていた。全ての出会いが印象的だった」と笑顔を見せた。
慶次は涙にぬれた顔を上げて「今、目から出ているのは雨。3年間、重圧でつらいときもあった。成長できたのは武将隊の面々と皆々の支えがあったから。皆々もつらいこと、逃げ出したい時があるだろうが、それぞれの場所で戦ってほしい」と観客を見渡した。
結成時からのメンバー・利家はなかなか言葉が出なかったが「5年半もいると、多くの出会いと別れを経験する。寂しく悲しいときもあったが、なぜか思い出すのは全てうれしく、楽しい記憶ばかり。これは右も左も分からなかった我らを支え続けてくれた皆々のおかげ。ほかのメンバーに何かを伝えることができたなら、ここまで残ったかいがあった」と空を見上げながら感無量の表情を見せた。
最後にマイクを持った秀吉は「齢(よわい)400歳を超えているので、武将たちは涙もろい。約3年、つらい時もあったが、名古屋城での日々は楽しかった。武将隊は毎日、名古屋城に来てくれた方々と相対し、もてなしている。おもてなしはすごい力を持っている。名古屋を世界一の観光都市にするため、一つ一つ我らがやるべきことを成していけば、必ず実現するはず」と話した。
5人の言葉を聞いた信長は「いざ目の前に出立の現実をつきつけられると、さまざまな思いが頭の中に交錯する。5人とも良くやった。あとは我らに任せ、自由に飛び立て。武将隊は、ここからさらに前進しなければばらない。必ず天に帰ったことを5人に後悔させる。それが我らの恩返し。皆の衆、共に前に進み、日本を盛り上げよう」と力強く語った。10人は観客と共に拳を掲げ、名古屋の明るい未来を願い、勝ちどきをあげた。式の最後は全メンバーが一列に並び、全ての観客をハイタッチで送り出した。
新メンバーは4月4日、名古屋城の二の丸広場でお披露目する。