
「南大須ビル」(名古屋市中区門前町3)が7月6日、大須商店街の南側にオープンした。
本町通の一角で、仏壇・仏具店が立ち並ぶ「仏壇通り」沿いの築50年の空きビルをリノベーションした同ビル。修繕など建物延命事業や、リノベーションなどビル再生事業を行うナグラ産業(北区)が手がけた。
6階建てでワンフロアの床面積は約50坪。構成は、1・2階=飲食店、3・4階=クリエーター向けシェアオフィス(3階はデザイン会社の入居が決定)、5階=アーティスト向けシェアアトリエ、6階は計画中。セットバックした造りの入り口前はいすとテーブルを置く空間をがあり、地域とつながるような工夫をした。
同ビルプロデューサーで同社社長の名倉昌孝さんは「地域にイノベーションを起こせる拠点にしたいと考えた」と振り返る。「仏具を扱う業態の活性化もしつつ、地域が元気になることを考え、クリエーティブに携わる人材の力が必要と思った。エリアマーケティングしながらコンセプトづくりをした。独りよがりにならないように、仲間とチームを組んだり、地域とつながったりするのも重要必要」とも。
1、2階の「EGORAPIN’(エゴラピン)」は、ベーグルやスープ、ドリンクを提供するコーヒーベーカリー。「今、名古屋で勢いがある若者」(名倉さん)という同社の別ビルで出店する飲食事業者に協力してもらった。席数は64席。2階の一角には観葉植物や花器などを販売する店も出店。20代~30代の来店客が多く、「期待通り」と名倉さん。3~5階は、「クリエーティブに強い」という不動産事業を手がける若手女性に協力してもらったという。
通りに面する南側の壁面を「地域とつながって革新を起こす」という考えで「フュージョンウォール」と名付け、クリエーティブな演出に活用する。ビルに入居するクリエーターやアーティストが伝統工芸品でもある仏具を使って作品を作ってもらうなど構想が広がると名倉さん。
「仏壇業界は縮小傾向にあるが、先祖を大切にしたり、亡くなった人に思いをはせたりする気持ちの面では変わらない」と名倉さん。コンセプトの中で「より良い先祖になれるか」というキーワードを掲げ、「それをかなえるために、いかに良い生き方をするかを、このビルやカフェスタッフ、アーティストを通して発信したい」と話す。
飲食店の営業時間は11時~20時。月曜・火曜定休。