焼き鳥店「やば鳥(ちょう)」(名古屋市中区大須3)2代目店主の太田項三さんが1月7日、店を継いで10年を迎えた。
今年、開業45周年を迎える同店。父親と、ホールやサイドメニュー、ドリンクを担当する母親の2人で長年店を切り盛りしてきた。
太田さんは2016(平成28)年、創業者である父に代わり2代目として店を継いだ。それ以前は、16年間を関東地方で暮らし、さまざまな仕事に携わる中、就職希望でデザイン会社を紹介された同時期に、両親から名古屋に戻って来てほしいと連絡を受けたという。「父がすぐに引退するわけではなかったが、店をなくすのはもったいないと思い、継ぐ前提で戻ることに決めた。人生の大きな転機だった」と振り返る。
修業は父親の下で始まり、見て覚えることが中心だった。そんな中、店に入って2カ月後の年末に、突如、年明けから店を任されることになったという。太田さんは「めちゃくちゃな展開だと思ったが、投げ出すわけにもいかず、やるしかないと思った」と振り返る。以降、父親から直接学ぶことはなく、2カ月間見てきた作業を頼りに年明けの営業に臨んだ。
引き継ぎ当初は、苦しい時期も経験した。「料理経験のない素人が作るものだから、当然、常連客は離れていった」と太田さん。それでも、日々、炭を変えてみたりするなど自分なりに試行錯誤を重ねながら母親とともに店を守ってきた。「これまでの多業種の経験が今に生きている。『修業』が積めなかったことで明確な完成形を持たず、永遠の素人だと思っているからこそ、今も絶えず改善を続けている。おいしいと言ってもらえだしたのは、確か、焼きだして5年目辺りから」と話す。
9年目の2025年、新年営業の際、常連客と映画や音楽などカルチャーの話題で交流する中で、仕事に初めて「楽しさ」を感じたという。同年には初のイベントも開催した。「焼き鳥を安定した味で提供するという当たり前から、次のフェーズ(お客さまを楽しませる)が見え始めたきっかけとなった」と太田さん。3月末には母親が引退。現在は人手不足もあり、太田さん1人で店を回している。現在、アルバイトスタッフを募集している。
メニューは、ねぎま、ささみ、つくね、豚肉を使ったアスパラ巻きやしそ巻き、牛肉の「南蛮焼」、自家製キムチ、関東風もつ煮込みなど。ナチュラルワインもそろえる。
10年の節目を迎え、太田さんは「成長を我慢強く見守ってくれた寛大なお客さまたちのおかげで、10年を迎えることができた。今年は次の10年に向け、自分が好きなイベントへの出店や他店とのコラボレーションにも挑戦したい。ジビエメニューにも取り組み、お客さまを楽しませたい」と意欲を見せる。
営業時間は18時~22時。月曜・日曜・祝日定休。