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「越後妻有トリエンナーレ」-名古屋工業大学研究室が初参加

サカエ経済新聞のインタビューに答える伊藤孝紀准教授

サカエ経済新聞のインタビューに答える伊藤孝紀准教授

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 新潟県・十日町市で開催されている芸術祭「大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレ」に、名古屋工業大学(名古屋市昭和区)伊藤孝紀研究室の学生らが作品を出展している。大学の研究室としての名古屋からの出展は今回が初めて。

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 2000年にスタートした同トリエンナーレは、3年ごとに開催されており、今回で4回目。過疎高齢化に悩む「越後妻有」を舞台に、地域の魅力をアートを通して掘り起こし国内外に発信すること、それに伴う地域再生を目的に開催されている。田んぼや集落、空き屋、廃校などさまざまな場所を使い、国内外のアーティストらの作品約350点を地域内に点在するかたちで展示している。

 一般公募で選ばれ参加を決めた名工大・伊藤孝紀研究室。建築を学ぶ同研究室の作品発表の場として提供された場所は、小学校のトラック1周分ほどの広さの敷地。同地はもともと美しい棚田が広がっていた場所だが、過疎化の影響で公共の公園になっている。インスタレーションのタイトルは「ツマリ楽園」。敷地内に小さな5つの集落を作り、豪雪地帯ならではの同地の建築技法の再発見や、美しい自然を体感できる作品を制作した。

 「豪雪地帯の越後妻有には都会とは違う住環境がある。それらは地域の人々にしてみればごく当たり前のものだが、ほかのエリアに住む自分たちから見れば、とても新鮮で不思議な形をしていたりする」と話すのは、同大学大学院修士1年生で伊藤研究室の学生。「それは、屋根の上に雪が積もらないように工夫された形状だったり、2階に玄関がある建物など、少し集落を歩くだけで驚きや発見が多い」とし、「現地では当たり前になっているものの中に、新たに面白さを見いだし、特徴をデフォルメして表現するインスタレーションを行なうことで、来訪者にもシンプルに越後妻有の建物の素晴らしさを伝えることができると考えた」と紹介する。

 同トリエンナーレのコンセプトは「世界とのつながり」「過疎化している地域を盛り上げる」「住民とアーティストや来場者とのつながり」など。大学の研究室の参加には特に、地域住民と一緒に作品を作り上げるなど「地域住民との繋がり」が求められる。約1カ月間現地に滞在し、徹夜の日々を乗り越えながら作品を作った約10人の学生たち。「作品が小さいものの集まりだったこともあり、なかなか地域住民の人との協力した制作活動ができず悩んだ」と伊藤研究室の同学生。そうした中でも住民らとの交流を少しずつ築きいていき、「みんなで作り上げた作品は、まず住民の皆さんに見てもらいたい」とほほ笑む。

 伊藤研究室の伊藤准教授は「それぞれの個性を補い合って頑張ったり、生徒たちがさまざまなプロジェクトを通して成長せいている姿がわかる。制作の段取りだけでなく、宿泊や費用などの段取りも自分たちで考えたりするなど学生主体で動くと、生徒らのモチベーションも上がり結果的に成果が出せると考えている」と見守る。

 「大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレ」の開催は9月13日まで。

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