創業30年になるインドカレー専門店「カレーのMORI」(名古屋市東区東桜1)が9月30日、惜しまれつつも閉店日を迎え、最後のにぎわいを見せた。
同店は1980(昭和55)年、当時はまだ珍しかったインドカレー店として開店。温かい雰囲気の店内と、本格的なインドカレーを提供する店として繁盛した。「35年を区切りに店を閉める予定だった」と店主の森さん。家族で店を営んできたが、母・富子さんが足を痛めたため予定を早めたという。
8月に張り出された閉店を知らせる張り紙や、新聞のコラムを読んで閉店を惜しむ客が相次いで訪れた。9月の初めごろからは連日、店の前に長蛇の列ができた。最終日の30日も、あいにくの雨にもかかわらず店の前には人だかりができ、店内では「今日で無くなってしまうことが残念」と話しながら人気メニュー「チキンカシミール」を食べる客の姿が多く見られた。
千種の会社から足を運んだ2人組の女性客は、学生のころからよく訪れていたという。店の思い出については、「学生だった当時は、名古屋にはナンを出すインドカレー屋さんがまだなく、珍しかった。おいしいし値段も手ごろ。無くなってしまうのは寂しい」と話していた。
同店に隣接するベトナム料理店「アンナンブルー」の印南利弘店長は「アンナンブルーがここで店を構えてから12年。MORIカレーさんとはとても仲良くさせていただいた。できれば続けてほしいが、いろいろ考えもあるでしょうから…」と、共に歩んできた「カレーのMORI」の閉店を見守った。