スタンダップコメディアンの清水宏さんが3月11日、愛知県芸術劇場(名古屋市東区東桜1)小ホールで「全てが劇的、全てがトラブル!! ニンゲン・パワースポット 清水宏のたたかうコメディー !!」を上演する。公演に先立ち、清水さんが舞台の見どころを語った。
清水さんは愛知県出身。1980年代に演劇からスタートし、現在はスタンダップコメディーを軸に、舞台、大道芸など、さまざまなシーンで活動の場を創出している。2011年からは英語での舞台も始め、世界三大コメディーフェスティバルの一つ、イギリスの「エジンバラ・フリンジ・フェスティバル」に参加。現地のレビューに取り上げられて注目された。
今回の公演は実際に清水さんが経験した出来事を題材にした「ドキュメントコメディー」。イギリスへ行くためのスポンサー探しで、いろいろな企業を回った時の苦労や感動をコメディーにつくり上げているという。「もともとは海外への挑戦でコメディーを作るつもりだったのが、そのスポンサー探しで大長編になった。海外どころか、日本で隣の人を説得することだって大変。テレビ的に無名なコメディアンが、どうやって人々を説得するのか。実際に起こったことを、観客に同じように体験してもらい、一緒に障害にぶつかり、挫折し、乗り越えてもらう社会派、人情ロードムービーコメディー」と見どころを語る。
清水さんは実際に、誰もが知っている東京や愛知の大企業から、果ては愛媛県今治市の会社まで、自分を売り込むために奔走した。「大企業に立ち向かうと言えばかっこいいが、説教されたり、未熟な反論をしたり。ノンフィクションなのに、最後はあまりによくできたアメージングな結末。自分でも心打たれる勇気の出る話になった。あらためて日本が好きになった」と笑う。
社会派、ドキュメントなど、見どころはたくさんあるが、「コメディー」であることへのこだわりは大きい。「とにかく笑ってほしい。わざわざ劇場に足を運んでもらうのだから、腹の底から笑ってもらうために舞台をやっている。そのくらいじゃないとライブをやる意味がない。笑いを期待する人に圧倒的に応えるコメディーであること。それにプラスアルファとして社会や人情がある」
あふれ出すパワーで観客を物語に巻き込んでいく清水さんの舞台。「観客との空気感を作り上げるのに地元愛知もイギリスも違いはない」と話す。「観客一人一人にそれぞれの意地やプライドなどがあって笑い方も表面は違う。しかし、根本的には観客を信じている。名古屋でも、東京、今治やエジンバラでも、人間の中の熱、エネルギーは同じ。みんなの鎧(よろい)をはがすまでの格闘はあるが、脱いでもらえたら大丈夫」
最後に清水さんは「今回の舞台は、頑張って働いている人や、困難にぶつかり格闘している人に見てほしい。僕の舞台は現実社会の困難や大変さとリンクしてリアリティーがある。ヘトヘトになるくらい笑ってもらった後に必ず何かにつながる、心をつかまれるような達成感を味わってもらえるはず。若い人や普段は舞台を見ない人も、ぜひ足を運んでもらいたい」と来場を呼び掛けた。
開演は19時30分。料金は前売り=3,500円、当日=3,800円。未就学児童は入場不可。問い合わせはソーホー・ジャパン(TEL 052-243-1030)まで。