名古屋城(名古屋市中区本丸1)二之丸東庭園で3月27日、「名古屋おもてなし武将隊」の「出立式」が行われ、織田信長、加藤清正が同隊を卒業した。
名古屋の観光PR活動を目的に、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康ら有名戦国武将6人と、陣笠隊4人で2009年に結成した同隊。名古屋城内で「おもてなし」と呼ばれる観光案内や写真撮影、演武を行うほか、イベント、メディアに出演して名古屋の魅力を伝えている。
桜が開花し、「名古屋城春の陣」開催でにぎわう中、東庭園には現メンバー10人がそろう最後のイベントを見るために約1500人のファンが集まった。信長は「この出立式で信長と清正は一度、天に昇る。我々(われわれ)の思いをしかと届けるゆえに、受け止めてこれからの活力にしてもらいたい。武将隊の武士(もののふ)の姿、生きた証しを存分に楽しむのじゃ」とあいさつ。清正、信長にそれぞれ縁の深い演武「名古屋城築城の巻」「第六天魔王の巻」を披露した。
演武後、卒業する2人は観客に出立のあいさつ。結成時からのメンバーで約6年半在籍した清正は「2009年11月にこの名古屋城にて結成式を行った。最初は我らを知る者は誰もおらず、一生懸命に呼び込みをして人を集めてから演武を行った。今ではこんなにも多くの観客に見ていただいて演武ができる。我々のやってきたことが本当に皆々に愛されて、ここまで来たのだと感じ申す。これからも武将隊の戦(いくさ)は続いて参る。我が魂をここに残していくので、今後とも武将隊をよろしくお願い申す」と観客を見渡した。
信長は初代の卒業に伴い、二代目に就任。約4年間、隊の中心として活躍した。「この場に立ってようやく出立する実感が湧いてきた。多くの民が認めてくれて、我々は名古屋を代表する武将隊となった。わしができることは全てやったつもり。悔いはないが、皆々が泣いているのを見ると誠に申し訳ない気持ちになる。これからも残された面々が存分に力を発揮するはず。皆々に支えられて前を向いて歩いてきた4年間、誠にありがとうじゃった」と笑顔を見せた。
清正と共に結成時から在籍する徳川家康は「清正は結成から今日まで、我が人生で一番顔を突き合わせて時間を過ごした仲間。優しくて厳しい信長とはぶつかり合うこともあったが、全てが忘れられない思い出。残ったメンバーと新しく来るであろう武将と共に、これぞ武将隊という姿を見せたい。少なくとも100年は名古屋おもてなし武将隊を続けてみせる」と意気込む。
式の最後は全メンバーが一列に並び、全ての観客をハイタッチで送り出した。
新メンバーは5月、名古屋城でのお披露目を予定している。