栄の名古屋パルコ(名古屋市中区栄3)西館1階イベントスペースで6月23日~25日、小型電気自動車「rimOnO(リモノ)」の展示が行われた。
リモノは政府が進める「超小型モビリティ」を基に開発中の新しいタイプの自動車。超小型モビリティとは高速道路を走行しない2人乗りの小型自動車で、地方などで近距離の移動に使える簡易な乗り物として構想・提案されている。
今回、展示された車体は「rimOnO社」が開発パートナーの「ドリームスデザイン」(昭和区福江2)に設計・製作を依頼したプロトタイプ。「誰もが安心して乗れる乗り物」をコンセプトに設計された同車は、全長2.2メートル・全幅1.0メートル・全高1.3メートルとコンパクトなサイズ。車両重量は320キログラムで、最終的に200キログラムにすることを目指している。最高速度は時速45キロほどに設定し、充電式のバッテリーで50キロの航続距離、価格は100万円が目標。運転は自転車やオートバイと同じバーハンドルで、乗り込みが容易になる回転式のシートになっている。布製のボディーは内部の鉄製フレームを残して付け替え可能で、豊富な色から選べるという。
ドリームスデザインの奥村康之さんは「人と乗り物が共存できる街づくりが大きなテーマ。高齢化が進む中、自動車の便利さを保ったまま、ドライバーと歩行者が安心できるような小型でスピードが出ない乗り物が必要とされている。普通の自動車では早すぎるし大きすぎると感じる高齢の方々が自宅周辺の移動に使ったり、自転車の前後に子どもを乗せている若い母親が転倒の恐れが無い、雨風を受けない乗り物として利用したりしてほしい」と話す。
「現在、多くの会社が超小型モビリティに取り組んでいるが、布製ボディーというコンセプトは独自のもの」と奥村さん。「高齢の方が駐車に一生懸命になり、遊んでいる子どもに気が付かないこともある。人に優しい柔らかい車なら、大きなけがを防げる確率が上がる。着せ替え可能なボディーなので、何かにぶつけてしまった際も通常の自動車より修理代が安くすむはず。幅広い世代に受け入れてもらうために、かわいいデザインにすることにもこだわった」と話す。
今回の展示は、リモノの公道走行実験を目指して実施しているクラウドファンディングへの応援を呼び掛けるためのもの。現在、パルコが運営する購買型クラウドファンディング「BOOSTER(ブースター)」で、目標金額を4,000万円に設定して募集している。
奥村さんは「プロトタイプ01(試作第1号車)は昨年5月に完成し、現在、量産化の第一歩である公道走行試験への着手を目指している。この1年、法人向けの展示会には積極的に出展してきたが、一般の方々に見てもらう機会を増やしたかった。パルコはブースターで新しい才能の発見と応援を掲げて多くの企画に取り組んでいる。大きな目標のプロジェクトを達成するため、力を合わせてチャレンジしている」と話す。
展示は全国のパルコを巡回中。東京ほか、どの街でも反応は良いという。奥村さんは「布のかわいいボディーなので、通りすがりの方々が自然に立ち止まって触れてくれる。名古屋は車の街なので、厳しい意見や面白い感想、アイデアを頂けた。カスタマイズを専門店に頼まなくても簡単にできると興味を示す方や、父母に薦めてみたい、子どもの送り迎えに使いたいという方も。頂いた意見を取り入れて公道走行車を作り、見たいと言ってくれる方々のところに駆け付けられるようにしたい。生活道路で主役になれる自動車を作りたいので、皆さまの力を貸していただけたら」と呼び掛ける。
クラウドファンディング募集期間は7月12日まで。応援金額に対するリターンとして合同試乗会、シリアルナンバープレート、工場見学など、さまざまな特典を用意している。