栄の映画館「センチュリーシネマ」(名古屋市中区栄3)で5月26日から、映画「ゼニガタ」が公開される。公開に先立ち出演のBOYS AND MEN田中俊介さんが会見を開いた。
同映画は地方の港町を舞台に、昼は居酒屋、夜は闇金融をしている銭形富男・静香兄弟と、彼らを取り巻く人々を通して、金への欲望と恐怖を描く人間ドラマ。主人公の富男をテレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」などで人気の大谷亮平さんが映画初主演。弟・静香を「凶悪」「あゝ、荒野」の小林且弥さんが演じる。監督は園子温さんの助監督を務め、「人狼ゲーム クレイジーフォックス」などでメガホンを取った綾部真弥さん。出演はほかに佐津川愛美さん、安達祐実さん、渋川清彦さんら。
銭形の下で働き始めるボクサー崩れの青年・八雲を演じる田中さん。「以前にアクション映画や攻撃性を秘めた男を演じた際にボクシングを習って役作りに生かした。今回は元ボクサー役なので、撮影に入る半年前からどっぷりと取り組んだ。八雲は成功体験の無い男で、自分に納得がいかなくて不安感を持っている。僕も思うように成功できない中、ボイメンで人生が変わったので、共感できる部分がある。今まで失敗した時の感情を思い起こしながら役作りをした」と振り返る。
共演した大谷さんについて「僕は作品に対して真っすぐに向き合ってないと不安で、現場ではいつも心の余裕が無い。大谷さんも絡んでくるタイプではないので、コミュニケーションは少しずつ深まっていった。映画の中で八雲が成長していく過程と同じように、だんだんと密になり、兄貴みたいな感じになった。それが作品にも反映していて、人間不信で劣等感のすごい男が、開放されていく感じが表情にも出ていた。うまく大谷さんが引き出してくれたと感謝している」と話す。
昨年はボイメンで全国ツアーを行い、ステージと映画撮影でいろいろな街を訪れた田中さん。「映画のロケ地は静岡県沼津市で、さまざまなシーンに街並みや食など沼津の良さが映っている。一見穏やかな雰囲気の街を舞台に闇金という裏側の世界が描かれていくことで、映画に化学反応が生まれていると思う」と話し、「沼津で食べた魚は本当においしかったし、ボイメンで回った街も魅力的なところばかりだったが、それでも生まれ育って今も拠点としている名古屋は特別。ぶれない名古屋愛を持ちつつ、今回の沼津のように、全国に愛せる街をどんどん増やしていきたい」と笑顔を見せた。
最後に田中さんは「闇金というアンダーグラウンドな世界の話だが、エンターテインメントとして楽しめる映画。登場人物も個性豊かなので、映画で描かれた世界をのぞき見るような感覚で楽しんでいただけたら」と呼び掛けた。