栄の美容師2人が「未来をつなぐ夢はさみ」のボランティアトレーナーとして、11月にカンボジアの子どもたちに美容技術を指導する。
「未来をつなぐ夢はさみ」はヘンケルジャパンの「シュワルツコフ プロフェッショナル事業本部」が2008年から実施している社会貢献活動。カンボジアの恵まれない青少年を対象に、ヘアカットの技術や理論など日本の高い美容技術を伝えることで自立を支援している。10年間で22回実施し、53人の美容師がボランティアトレーナーとして参加。カンボジアの延べ303人の子どもたちが受講し、44人が美容サロンを含む美容関連に就職、4人が美容サロンをオープンして独立している。
23回目となる今回は、応募者から選ばれた栄の美容サロン「Le Coeul」(名古屋市中区栄3)の山本康雄店長、木下史穏さんがボランティアトレーナーに就任。11月12日~16日にカンボジア・バッタンバン市に滞在しながら技術指導を行う。
木下さんは岐阜県美濃加茂市出身。「美容師になったきっかけは、ボランティアで老人ホームなどを回り、カットしていた人を見たから。もともとこの活動に興味があったので、2か月前にスタイリストになったことを機に応募した。美容技術を教えるだけではなく、遊んだり、日本の文化を教えたり、さまざまなことで子どもたちと交流したい」と意気込む。
山本さんは扶桑町出身。「かつての上司からカンボジアでの体験を聞いていて、興味は大きかった。木下さんの希望を店長として背中を押しつつ、自分でも参加したいという気持ちになった。日本人は技術をうまく教えることが得意だと思っている。しっかり伝えて、美容師になりたい子どもたちの力になりたい」と話す。
2人は9月10日、栄の美容教育施設「ASK Academy 名古屋」(中区丸の内2)で行われた事前研修に参加。ヘンケルジャパンのスタッフらと現地で教える指導内容を確認し、NPO法人「国境なき子どもたち」の三喜一史さんからカンボジアへの渡航や滞在の注意事項などを受講した。
三喜さんは「若者たちにとって生の技術を知ることは本当に刺激になるし、将来の目標も立てやすくなる。カンボジアには、職業訓練の場があってもアクセスできない子どもがたくさんいる。体系的な職業訓練の機会を継続して提供するこの事業は、子どもたちの選択肢を増やすことにつながっている」と意義を語る。
ヘンケルジャパン広報の小野尾秀美さんは「日本から始まり、世界各国のヘンケルに広がっている活動。この先10年、20年と続く活動にし、1人でも多くのカンボジアの青少年の自立を支援したい」と話す。