映画館「伏見ミリオン座」の新館(名古屋市中区錦2)が4月12日にプレオープンした。グランドオープンは19日。
初代「ミリオン座」は、太平洋戦争で減少した名古屋市の人口が再び100万人を超えたことを記念して名付けられ、1950(昭和25)年に開館。「バンビ」「ローマの休日」など多くのヒット作を上映し、1983(昭和58)年に閉館した。「伏見ミリオン座」旧館は2005年にカフェを併設した3スクリーンでオープンし、ミニシアター系の作品や「この世界の片隅に」などの話題作を上映。13年半で約250万人の来場者を動員し、今年4月7日に閉館した。
新館は初代ミリオン座、旧伏見ミリオン座と同じく地下鉄伏見駅から徒歩圏内に建設。地上7階建てで、2・3階に4スクリーンを展開、1階にカフェを併設している。1スクリーンの増加で、座席総数は旧館の341席から417席となった。184席のミリオン1と110席のミリオン3には中継上映設備を完備し、演劇・音楽などのODS作品の上映も可能になった。
11日には内部を公開。同映画館支配人の稲垣明子さんは「たくさんの観客が集まって盛り上がれるスクリーン、落ち着いた雰囲気で没入感の高まる座席数の少ないスクリーンと、映画に応じて作品の魅力をもれなく提供できる環境が整っている。応援上映のような企画から、映画通にお薦めしたい良作の上映まで、これまで応援していただいた映画ファンや新しい観客の皆さんの要望に応えられるラインナップを提供していきたい」と話す。
「カフェミリオン」は移転に伴いドリンクメニューなどをリニューアル。有機栽培の豆を使ったコーヒーや、好評だった「GURUMAN」のパン、新登場メニューのホットスナックなどを提供する。
稲垣さんは「親しまれていた旧館の魅力を大事にしながら、さまざまにリニューアルした。映画の世界館を演出する館内装飾なども行い、鑑賞の前後も楽しめる空間にしたい」と話す。
プレオープンは1スクリーン(ミリオン4)で「ビューティフル・ボーイ」「記者たち 衝撃と畏怖の真実」を公開。19日のグランドオープンでは4スクリーンを稼働し、「荒野にて」「ある少年の告白」「愛がなんだ」「ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ」などを公開する。
稲垣さんは「新館も旧館同様、街の皆さんに親しまれる映画館になりたい。長者町の町並みの新たな魅力の一つになれるよう、スタッフ一同頑張っていく。明かりのついた外観もとてもきれいなので、足を運んでいただけたら」と呼び掛ける。