オランダの現代バレエ団「ネザーランド・ダンス・シアター(NDT)」が6月28日・29日、愛知県芸術劇場(名古屋市東区東桜1)で公演を行う。
NDTは、1959年にオランダで設立された世界有数のコンテンポラリーバレエカンパニーの一つ。チェコの振付家イリ・キリアンさんが芸術監督に就任した70年代から世界屈指のカンパニーの評価を受け、各国の主要な劇場で上演。キリアンさん退団後も世界各地からダンサーが集まり、気鋭の振付家との共同制作により、年間10作品余りの新作バレエを発表し、国際的で活発な活動を行っている。
現体制は芸術監督をポール・ライトフットさん、専任振付家をソル・レオンさんが務め、アソシエイト・コレオグラファー(振付家)にクリスタル・パイトさん、マルコ・ゲッケさんを迎えている。同バレエ団には、これまで多くの日本出身ダンサーが参加し、現在は刈谷円香さん、飯田利奈子さん、高浦幸乃さん、福士宙夢さんの4人が所属している。
13年ぶりの来日公演となる今回は4作品を上演。「シュート・ザ・ムーン」は、キリアン退団後のNDTを牽引してきたレオンさん、ライトフットさんが振付した代表作。3つの部屋で3組のカップルによるそれぞれの物語が展開する作品で、緊密な人間関係と内在する感情が、回転するダイナミックな舞台美術とリアルタイムで投影される映像によって表出される。
レオンさんとライトフットさんが2017年に振付した「サンギュリエール・オディセ」は、さまざまな事情、背景を持つ人々が行き交う駅待合室を舞台に、人が旅すること、移動することなど生に向かう永続的な環境の中での多様な変化にフォーカスした作品。
「ザ・ステイトメント」は、世界中のバレエ団からオファーが続く話題の振付家パイトさんのエッセンスを堪能できる代表作。 カナダのエレクトリック・シアターの芸術監督ジョナサン・ヤングさんのテキストをベースに、テキストを読み上げる声に操られるように語りながら踊るダンサーたちの演劇性の高い身体表現で、支配・戦い・責任などの現代社会を反映し、見る者に現実の社会を突きつける。
「ウォーク・アップ・ブラインド」は、40代半ばにして70を超える作品を創作した振付家ゲッケさんが、NDTのために創作した代表作。悲劇的に若くして亡くなったジェフ・バックリィの音楽「You and I」と「The way young lovers do」を使い、異なる方法で愛を扱い、従来の音楽とダンスの関係を超え、身体表現と音楽との新たな可能性を目指す。
ライトフットさんが今シーズン限りでの芸術監督退任を発表しているため、現体制での日本公演は6月の愛知県芸術劇場、7月5日・6日の神奈川県民ホールで最後となる。
開演時間は14時。料金はS席=1万2,000円、A席=9,000円(U25は4,500円)、B席=6,000円(同3,000円)、C席=4,000円(同2,000円)。チケットは、愛知芸術文化センター内プレイガイド(TEL 052-972-0430)ほかで販売している。