日本舞踊「西川流」が7月2日、西川会会館で会見を開き、「名古屋をどりNEO傾奇者(かぶきもの)」を10月15日・16日に開催することを発表した。
名古屋をどりは、西川流が1945(昭和20)年の終戦直後から、名古屋宝塚劇場、中日劇場、御園座など、名古屋の中心地で会場を移しながら公演を続けている舞台。昨年の第73回公演は、三世家元・西川右近の追善舞踊会と共に御園座で開催された。
74回目となる今回は、会場を鶴舞公園(名古屋市昭和区鶴舞1)の「名古屋公会堂」に移し、内容を大きく刷新。劇場だけでなく、全館を貸し切り、ホールやロビー、屋外駐車場も使ったイベントも併せて行う。新たに名古屋市が共催に加わり、同日に市内で開催する「名古屋まつり」とも連携する。
西川流四世家元の西川千雅さんは「今年から名古屋をどりを、伝統舞踊を中心とした『CLASSIC』と、誰もが楽しめる日本文化のエンターテインメントを凝縮した『NEO』という、2種の公演に分ける。NEOは、オール名古屋の新旧のエンタメが集合し、伝統文化と新しい文化が融合、発展するお祭りにしたい」と話す。CLASSICの公演は、2023年に御園座を舞台に構想している。
大劇場は2部構成。第1部「全国芸妓(げいこ)博覧会」は、全国から2日間で計12の芸妓団体が集まり、芸を披露する。大阪からは「OSK日本歌劇団」の名古屋出身者を中心に結成された新ユニット「OSaKa GEISHA NEO」が出演する。
第2部「NEO舞踊劇 名古屋心中」は、千雅さんが演出・主演を務め、西川流の舞踊家のほか、名古屋出身の俳優、ダンサーらが出演。背景には全面LEDの映像が流れ、邦楽生演奏が奏でられる和風ミュージカルのような舞踊劇。尾張徳川家7代目当主・徳川宗春が治める1733(享保18)年を舞台に、史実にあった畳屋と遊女の心中未遂事件をドラマと踊りで描く。畳屋喜八を西川カークさん、遊女小さんは名古屋を拠点に活動するグループ「BOYS AND MEN」の本田剛文さんが演じる。ほかに俳優の戸田恵子さん、佃典彦さんが朗読、映画監督の堤幸彦さんが演出協力で参加。大衆演劇「ナゴヤ座」やアクショングループ「RE-act」のメンバーなど名古屋のエンタメ関係者が集結する。
女形に挑戦する本田さんは「伝統と歴史のある名古屋をどりの新しい第一歩に立ち会えて光栄。家元にテレビ番組の企画で指導していただいた経験はあるが、自分は門外漢。何とか食らい付いて舞台に臨みたい」と意気込む。
舞台以外に館内・公園内で多彩な無料イベントを企画する。公会堂から鶴舞公園までレッドカーペットの上を芸妓がパレードする「粋ぞろい芸妓練り歩き」や、伝統工芸の技術を生かしたアーティストのポップアップショップ「伝統工芸NEO」のほか、既成概念にとらわれない経営者を招いての「傾奇者経営者シンポジウム」などビジネス企画も実施する。
千雅さんは「日本人に日本文化がすてきなものだと思ってもらいたい。自分の故郷に愛着を持ってもらいたい。そのために西川流以外にも、いろいろなジャンルから協力を頂いた。力を合わせてこのイベントを成功させたい」と話す。
大ホールの開演は両日とも第1部が11時、第2部が17時。入場料はS席=8,800円、A席=5,500円。