クリエーターと企業が集まるアップサイクルコミュニティー「上回転研究所」(名古屋市中区丸の内3)と、名古屋市内にコーヒーショップ「THE CUPS」を展開する「alto&Co.」(中区錦2)が、アップサイクルコラボレーションを開始。第1弾企画として8月22日から「THE CUPS 伏見店」で、廃棄されたコーヒーかすと牛乳を用いた新素材「カフェオレベース」でできた植木鉢などのプロダクト展示会が始まった。
「カフェオレベース」製のフラワーベースとランプシェード。コーヒー豆の種類やひき方、焙煎度合いで色合いが変わるという
「カフェオレベース」を開発したのは、同研究所の所長で素材デザイナーの村上結輝さん。これまでバナナの皮を用いた「バナナレザー」や、廃棄石膏ボードを活用した「resecco(リセッコ)」などさまざまな新素材を開発してきた。
「カフェオレベース」は、ドリップ後に残るコーヒーかすの活用方法を考える中で、樹脂の代わりに牛乳を接着剤として用いる方法を思いついたことから誕生し、これまでフラワーベースやランプシェードなどのプロダクトを生み出してきた。「カフェオレベース」をはじめ、村上さんが開発する素材は自然素材のみを使用しているのが特徴。例えば植木鉢を土に埋めると分解され、いずれ土に返るという。製造工程もシンプルで、ワークショップなどを開催して素材作りの面白さなどを発信してきた。
同研究所を運営する「On-Co」(三重県桑名市)の藤田恭兵さんは「僕らは活動を通じて、『ごみ箱が不要になる社会』を目指している」と話す。活動に注目した企業などからの、廃棄物活用に関する相談も多く、「より多くの課題解決につなげられたら」と、廃棄物が出る場でアップサイクルしプロダクトを製作、販売まで行う「マイクロファクトリー構想」を立ち上げた。飲食店や建築現場などとの連携拡大も見据えて準備を進めているという。
藤田さんは「研究所で製造を引き受けるのにも限界はある。ノウハウを提供し実践してもらうことで回収コストを下げられるだけでなく、事業者がノウハウを生かし、オリジナルのプロダクトを開発することも可能に。さらにプロダクトの購入者にも消費に対して意識を向けるきっかけとなるのでは」と話す。
続けて藤田さんは「廃棄物問題は、アップサイクルのみで解決できるわけではない」ときっぱりと話した上で、「だからこそ一人一人にできることがあると気づくことが大事」と続ける。
藤田さんは「数ある廃棄物の対処方法の中から、僕らは『身近なプロダクトに生まれ変わらせる』という手法を選んだ。取り組みを通じて『廃棄物ってこんな活用ができるんだ』『自分にも何かできるのでは』といったような廃棄物に対する意識や価値観を転換したり、アップサイクルを共通項に生産者と消費者がコミュニケーションしたりといった、新たなきっかけを創出できたら」と笑顔を見せた。
今月28日まで。27日18時~20時には「カフェオレベース」のプロダクト制作工程を体験できるワークショップを開催する。参加費は3,000円(ドリンク代含む)。