2025年に開催される国際芸術祭「あいち2025」の芸術監督に、アラブ首長国連邦出身のフール・アル・カシミさんが就任した。カシミさんは7月27日、愛知芸術文化センター(名古屋市東区東桜1)で就任会見を行った。
愛知県内各地を舞台に行われる同芸術祭は、「あいちトリエンナーレ」の名称で2010(平成22)年から2019(令和元)年まで3年ごとに4回開催。5回目となる前回から国際芸術祭「あいち」に名称を変更した。
カシミさんは、2009年にシャルジャ美術財団を設立。現在は同財団の理事長兼ディレクターを務め、国際巡回展、レジデンス・プログラムなど、活動領域を広げている。2003年に第6回シャルジャ・ビエンナーレの共同キュレーターを務め、今年2月に行われた第15回では従来からのディレクターに加え、キュレーターに就任。2017年には国際ビエンナーレ協会会長に選出された。
国際芸術祭「あいち」組織委員会会長の大林剛郎さんは「国際的なキュレーター、ディレクターとしての経験と実績を生かし、海外からの新たな視点を加えた国際水準の芸術祭が期待できる」と選任理由を述べ、「世界的ネットワークを生かしながら国内外に国際芸術祭あいちのプレゼンスをより一層高めてもらいたい」と期待を寄せる。
ロンドンで美術を学んだ際、日本語も勉強したというカシミさんは「2016年に草間彌生さんの個展をシャルジャで開くなど、これまで多くの日本のアーティストやパフォーマーの紹介を行ってきた。日本のアートには以前から興味を持っている。今回、芸術監督に就任する機会を得て、とてもうれしく光栄に思っている。日本にできるだけ多く滞在し、日本の美術やアーティストをよく知り、芸術祭に反映したい」と日本語であいさつ。
「シャルジャのほか、パキスタンやチュニジア、キューバなどでも芸術祭に関わっていて、普段からたくさんのアーティストと交流している。これまでの経験を生かし、世界中の素晴らしいアーティストを今回の芸術祭で紹介したい。地元のアーティストや美術を学ぶ学生たちとつながれる場を設け、一緒に芸術祭を作っていく。これまでの芸術祭のさまざまなレガシーを受け継ぎながら、自分らしい視点で新しいことをやりたい」と意気込みを語った。
組織委員会では今後、テーマ・コンセプトを決定し、作家の選定に入っていく予定。