2025年に開催される国際芸術祭「あいち2025」のテーマ・コンセプトが2月1日、愛知芸術文化センター(名古屋市東区東桜1)で発表された。
国際芸術祭「あいち2025」のテーマ「灰と薔薇のあいまに」について語るフール・アル・カシミ芸術監督
同芸術祭は、「あいちトリエンナーレ」として2010(平成22)年に始まり、前回の2022年から名称を変更。6回目となる今回は、名古屋市、瀬戸市を会場に2025年9月13日~11月30日の79日間にわたって開催する。
芸術監督のフール・アル・カシミさんは、芸術祭のテーマが「灰と薔薇(ばら)のあいまに」に決定したと発表。このテーマは、中東シリア出身の詩人アドニスが、1967(昭和42)年の第3次中東戦争の後に、荒廃した土地を見て発表した詩に着想を得たという。
アル・カシミさんは「アドニスは、灰と化した土地に絶望しながらも、バラの花が咲く未来へ向かうことを考えた。今回の芸術祭は、日本の皆さんにも、参加するアーティストそれぞれの国々にも意味のあるものでなければならないと考えている。テーマは人間と地球との関係に重きを置いている。おとぎ話を見ると、人間は自然と共に生き、動物と一緒に暮らし、平和な世界を営んでいた。現在の私たちは、地球と一体化するのではなく、支配し、コントロールし、搾取しようとしている。このままなのか、どこかでバラの咲くような世界に立ち返ることができるのか、考えていきたい」と話す。
参加アーティストは50組程度を想定。この日は、小川待子さんら4人を発表した。会見に出席したアルゼンチン出身のアーティスト、アドリアン・ビシャル・ロハスさんは「今回の芸術祭で新作を発表できることをうれしく思っている。私は決まったスタジオを持たず、遊牧民のようにその場所に行って作品を作る。環境に基づいた作品なので、使う素材もその場所にあるものから集め、規模によっては数カ月滞在して臨む。その空間がどのような場所であるかを見て、作品を作っている」と自らの作品制作について語った。
アル・カシミさんは「アーティストやキュレーターと一緒に、素晴らしい、美しい芸術祭にしたい。多くの人たちに、名古屋、瀬戸に足を運んでいただき、芸術祭と一体になってほしい。いろいろな人たちが相互に交流する場を目指したい」と意気込みを語った。
今後はテーマ・コンセプトに基づき、国内外のアーティストの選定を行っていく。