写真集・画集を中心に古書・洋書を扱うセレクトブックショップ「ワンオンワン」(名古屋市中区栄3、TEL 052-242-2363)は現在、オーナーの茂木さんがセレクトした「新しい才能を持つ写真家の作品展『GENSEKI(原石)シリーズ』」第2弾を行っている。
今回の写真家は蒲郡市在中のスズキヒデアキさん。写真を始めて1年足らずで、20歳という若さ。約1年前、たまたま店の利用客として訪れたスズキさん。「当時は一般のカメラ好きの一人だった」と振り返る茂木さん。その後、撮りためた写真を見てほしいと言われたことが同展開催のきっかけになった。
最初のころの写真は、「数はあったが気になる作品は数点だった」と茂木さん。いろいろ話し合い、約1年間、月を追うごとに成長を遂げ、かたちになった。「写真にエッジが効いてきた」という。「素直に耳を傾ける姿勢も、成長する一つの理由だったのだろう」とも。
昨年末、茂木さんがスズキさんに、作品のポストカード制作を提案。店内で販売を行ったところ、15枚ほどをまとめ買いをする利用客もいるほど売れ行きが良かったという。同店では写真集も多く扱っているため、写真に携わる人も多く来店する。「そうした人の目に作品を見てもらえることもいいこと」(同)。
スズキさんの可能性を広げてあげたいという茂木さんの気持ちと「GENSEKIシリーズ」の意図が結びつき、今回の作品展が実現した。
茂木さんは「作品を見たときに、1988年生まれのスズキさんが戦後の日本の原風景のかたちを表現していると感じ、驚いた。ここまで写し込めるのか、と」と、その魅力を話す。「ミケランジェロ・アントニオーニ監督の作品のような不毛な有様を写真に表現するような、また、市川崑監督のモダニズムにも近い」とも。
営業時間は13時~20時。今月31日まで。