10年近く放置され老朽化が進んでいた築約60年の大須の木造3階建ての建物が改修工事を終え、9月8日、1階につけ麺・ラーメン店「フジヤマ55」(名古屋市中区大須3、TEL 052-242-2110)がオープンした。同店は、東区内の人気中華そば店「あおい」(東区白壁1)、「一刻屋」(中区千代田5)に次ぐ3店舗目。
店舗面積は約10坪、席数は14席。これまであっさりとした中華麺を得意とし人気を集めてきたオーナーの澤竜一郎さん。「あおいをオープンして13年、一刻屋をオープンして6年。これからも同じものを作り続けるのではクリエーティブ心がなくなってしまう」と感じた澤さんは、5年ほど前から「濃厚なスープ」の開発に取り組んで来た。フジヤマ55では、その濃厚なスープを中心とした「つけ麺」をメーンに提供し、他店との差別化を図る。
「大須は多種多様な人が入れ混じる街。若者文化の街であり、年輩者が住む昔ながらの街でもある」と澤さん。「若者には、こってりスープのつけ麺を、年輩の方にはあっさりとした従来の中華麺を食べてもらえるように、両方のメニューを用意した」。「ガッツリ食べる若者」のために、普通盛りと大盛りを同一価格(780円)に設定。店舗名には「新しい文化と古い分文化がミックスした大須」を表現するため「誰にでも親しみのある富士山と『GO!GO!』という意味を込めた55を合わせた」。
建物について、澤さんは「存在感のあるこの建物は大須のシンボルの一つになると思っている」と太鼓判を押す。建物を所有し、隣接する中公設で野菜店を営む渡邊さん夫妻から野菜を仕入れていた澤さん。昨年末に個人的な買い物で渡辺さん夫婦の元を訪ねた際、同建物再建の話とともに「テナントがなかなか決まらない」という話を聞いた。興味を持った澤さんは、その足で建物を見せてもらったという。
「建て替え前のボロボロの状態だったが、見た瞬間にビビっと建物とのフィーリングが合うのを感じた」と振り返る澤さん。「まさに運命的な出会い。野菜を買いに来たつもりが、新規出店をその場で決め、契約をして帰った」と笑う。
「高校生のころから慣れ親しんでいる大須に出店できることが幸せ」と澤さん。今後の出店は「今回のように、人と物件との良い出会いがあれば考えたいが、基本的にはそんなにたくさん出店しなくてもいいと思っている。1店舗でもいいくらい」と意外な答えも。
現在は製麺が追いつかないとの理由から1日約150食で店を閉めているが、来週からは「製麺職人を助けるため」同店仕様で発注したオリジナル麺を仕入れ、回転率を上げる。
営業時間は、平日=昼11時30分~14時30分、夜17時~22時30分、土曜・日曜・祝日=昼11時30分~15時30分、夜16時30分~22時30分。今後、来店客の回転を見て営業時間を変更する予定。